アエロユニオン302便墜落事故

アエロユニオン302便墜落事故報告書

2010年4月13日、メキシコシティ国際空港からモンテレイ国際空港を経由し、ロサンゼルス国際空港へ向かっていたアエロユニオン302便（エアバスA300B4-203F型、機体記号XA-TUE）が、モンテレイ国際空港への着陸進入中に墜落する事故が発生しました。この事故により、乗員5名と地上2名の計7名が犠牲となりました。

事故機について

事故に遭ったエアバスA300B4-203F型機は、1979年に製造され、複数の航空会社で運用されてきました。その後、2002年4月にアエロユニオン社にリースされ、事故発生時までに約55,200飛行時間、27,600サイクルを記録していました。これは、長期間にわたる運用と、それによる機体の疲労蓄積の可能性を示唆しています。

事故の経緯

アエロユニオン302便は、国際定期貨物便として運航されていました。モンテレイ国際空港滑走路11への着陸が許可されていましたが、進入中に復航を試みました。この際、機体は失速し、現地時間23時18分、滑走路から約2キロ手前の高速道路に墜落しました。墜落は激しい衝撃を伴い、高速道路を走行中の車両に衝突し、運転手が死亡しました。機体は炎上し、乗員5名全員が死亡しました。その後、地上で新たな犠牲者が見つかり、最終的に死者数は7名となりました。事故発生時、激しい嵐により豪雨とウィンドシアが発生していたことが、事故調査において重要な要素として取り上げられました。

事故調査

メキシコの民間航空総局を筆頭に、エアバス社、フランス航空事故調査局など複数の機関が合同で事故調査を実施しました。調査の結果、302便は最終進入において、標準的な進入速度よりも20ノット（約37km/h）以上遅い、110ノット（約200km/h）で飛行していたことが判明しました。

パイロットによる操縦桿操作が速度低下に拍車をかけた可能性が指摘されています。具体的には、パイロットが操縦桿を引いたことで速度がさらに低下し、スティックシェイカー（失速警告装置）と失速警報が作動しました。機体の失速防止システムであるアルファフロア機能も作動し、エンジン出力が最大になり、機首が上昇し始めました。これに対し、パイロットは操縦桿を前に押して機首を下げようとしましたが、トリム調整が不十分だったため、迎角は41度を超え、速度は70ノット（約130km/h）まで低下しました。スティックシェイカーと失速警報が再び作動する中、機体は制御不能に陥り墜落しました。

まとめ

アエロユニオン302便墜落事故は、悪天候下におけるパイロットの操縦ミス、および機体の速度管理の不備が重なった結果として発生したと結論づけられます。この事故は、航空機の安全運航におけるパイロットの訓練、悪天候下での飛行技術、そして機体のシステム理解の重要性を改めて浮き彫りにしました。また、事故調査機関の迅速かつ詳細な調査は、将来の航空事故防止に大きく貢献するものと考えられます。今後の航空安全向上のため、この事故の教訓を活かすことが不可欠です。

もう一度検索