アオホソメテンジクザメ

アオホソメテンジクザメ (Brachaelurus colcloughi)

アオホソメテンジクザメはテンジクザメ目に属する珍しいサメで、主にオーストラリアの北西部沿岸の浅瀬に生息しています。このサメは頑強な体格を持ち、特徴的な頭部には1対の髭があります。胸鰭は大きく、背鰭は体の後方に位置しており、体長は通常約76cmに達します。若い個体は白黒の縞模様をしているのに対し、成体になると褐色に変わります。さらに、興味深いことに水面に出ると目を閉じることができるため、その生態においてユニークな適応を示しています。

分類と発見の歴史

アオホソメテンジクザメは1908年にオーストラリアの魚類学者ジェームズ・ダグラス・オギルビーによって初めて記載されました。当時、クイーンズランド州のモートン湾で収集された長さ約46cmの未成熟な雄の個体がその記載に用いられました。その後、1940年にギルバート・パーシー・ホイットリーによって最初のイラストが公開されましたが、一部不正確な点もありました。その後、クイーンズランド博物館が新たな標本を入手することで、本種の分類に関する混乱が解消され、現在ではアオホソメテンジクザメとその近縁種が正しく認識されています。

分布と生息環境

このサメはオーストラリア北東岸、特にグラッドストンからバリナまでの地域に分布し、大部分の記録はモートン湾から寄せられています。また、ヨーク岬半島やグレートバリアリーフの一部にも存在する可能性があります。アオホソメテンジクザメは、通常100m以内の比較的浅い海域に棲み、特に6mよりも浅い場所を好みます。柔らかい底質を好み、沈船の周辺でも見かけることがあります。

形態的特徴

この種は頑強な体を持ち、頭部はわずかに縦に扁平で長い形状をしています。吻は丸みを帯びており、横から見ると楔形をしています。大きく楕円形の目は頭部の上方に位置し、その下には明瞭な隆起線が存在します。鼻孔には長い髭が1対あり、それが鼻孔を囲むように位置しています。歯列は上顎に32～34本、下顎には21～29本の歯があり、各歯は細長い形状をしています。胸鰭は腹鰭よりも大きく、丸みを帯びていて、背鰭は後方に位置します。尾鰭は長く、全長の約1/4に達します。

生態と繁殖

アオホソメテンジクザメは、底生の小型無脊椎動物や硬骨魚を主な餌としています。無胎盤性胎生で、産仔は6～7匹とされ、出生時は約17～18cmほどになります。発生初期には卵鞘を脱ぎ捨てて成長するのが特徴です。水面では下瞼を閉じるため、視覚に関して独特の適応を持っています。

人との関係

アオホソメテンジクザメは、通常、人に危害を加えることはありませんが、商業漁業や遊漁で誤って捕獲されることがあります。特に幼体はその美しい体色からアクアリウムでの飼育目的で取引されることがあります。飼育環境にも適応しやすいとされます。しかし、その生息域が狭く、人の活動が影響を及ぼすことから、IUCNはこの種を危急種として分類しています。

アオホソメテンジクザメは、その希少性と特異な生態を持つため、保全が求められている非常に興味深いサメの一種です。

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