アカデミックハラスメント

アカデミックハラスメントについて

アカデミックハラスメント（以下、アカハラ）は、大学や研究機関における教育・研究の領域で、教職員がその権力を濫用し、他の構成員に対して不適切な言動を行うことによって、彼らに対して修学・職務遂行上の不利益をもたらす行為を指します。このような行為は、被害者に精神的・身体的損害を与えることとなり、人格権の侵害にもつながるため、社会的に問題視されています。アカハラは、一般的に知られているパワーハラスメントの一形態として位置付けられています。

アカデミックハラスメントの定義

特定非営利活動法人（NPO）アカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク（NAAH）は、アカデミックハラスメントを「研究教育に関わる優位な力関係のもとで行われる理不尽な行為」と定義しています。この定義からもわかる通り、アカハラは上下関係に基づく不当な行為であることが特徴です。

代表的な事例

アカデミックハラスメントはさまざまな形で現れますが、以下にいくつかの具体的な事例を挙げます。

学習・研究活動への妨害

• - 文献や実験機器の使用を制限する。
• - 不当な理由で研究室への立ち入りを禁止する。
• - 卒業研究の指導を不適切に行うことによって、進級や卒業の妨害を行う。

卒業、単位、進級の妨害

• - 単位を与えない不当な理由づけを行ったり、留年を強要する。
• - 学生が進学するための手続きを妨害する行為も含まれます。

選択権の侵害

• - 指導教員の変更があった場合、自動的に留年となることを脅したり、望まない研究テーマを強要すること。
• - 就職活動を禁止したり、推薦状の発行を拒否する場合もあります。

研究成果の収奪

• - 研究の著者順序を不正に操作する、または他者のアイデアを無断で論文に利用する行為が挙げられます。

暴言や過度の叱責

• - 学生や部下に対してネガティブな言動を行い、精神的な圧力をかけることがアカハラに該当します。

具体的な事件

過去には、アカデミックハラスメントによって多くの悲劇的な事件が発生しています。たとえば、2006年に高崎経済大学でのケースでは、進級に問題を抱えた学生が自殺するという痛ましい出来事がありました。また、2009年には東北大学で2年連続で博士論文が受理されなかった院生が自ら命を絶つという事件もありました。

このように、アカデミックハラスメントは学生や若手研究者にとって非常に深刻な問題であり、被害者は多大な精神的苦痛を受けることが多いです。

被害者支援

アカデミックハラスメントの被害者に対しては、大学によって申し立て制度が設けられている場合があります。専門家のアドバイスを受けながら、適切なサポート体制を構築していくことが重要です。傷ついた心に寄り添い、治療や心理的ケアを行いながら、被害者が自分自身を取り戻すための支援が必要です。

今後もアカデミックハラスメントの撲滅に向けた取り組みが求められます。研究や教育の場が安心して過ごせる環境となるよう、社会全体で取り組む必要があります。

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