アガット (グアム)

アガット村

アガット（英語: Agat、チャモロ語: Hagat）は、太平洋に浮かぶグアム島の西部に位置する歴史ある村です。広大なアプラ湾の南岸に面し、島の中心地であるハガニアからは南西におよそ10キロメートルの距離にあります。この村の人口は、2000年の国勢調査以降、緩やかな減少傾向が続いています。住民構成において、チャモロ人が半数以上を占める点は、この地域の文化的な特徴の一つと言えるでしょう。

村およびその周辺地域には、訪れる人々を惹きつけるいくつかの主要な観光名所があります。壮大な自然を満喫できるアリファン山や、美しい海岸線が広がるアガット湾は、アウトドア愛好家にとって魅力的なスポットです。また、歴史的な遺構としては、スペイン統治時代に建設されたスペイン橋が現存しています。さらに、太平洋戦争の激戦地であったことを物語る太平洋戦争国立歴史公園は、平和学習や歴史探訪の場として多くの人が訪れます。

歴史

アガット村の歴史は、グアム島全体の複雑な歴史と深く結びついています。1565年、スペインの探検家ミゲル・ロペス・デ・レガスピがグアムに到達し、スペインの領有を宣言したことから、グアムの長期にわたる植民地時代が始まりました。アガット村自体は、それから1世紀以上が経過した1680年から1684年の間に創設されたと考えられています。村が形成された初期の頃、ここに居住するようになった人々は、当時スペインによるグアム島の武力平定の過程で破壊されたフィナ（Fina）村出身のチャモロ人でした。彼らはスペインの軍事的な圧力のもと、伝統的な信仰からキリスト教へと改宗することを余儀なくされていました。

1830年代には、アガットをグアムの新たな主都とする計画が持ち上がりましたが、残念ながら必要な資金が集まらず、この計画は実現しませんでした。もし実現していれば、村の発展の歴史は大きく異なっていたかもしれません。

1898年、米西戦争の終結に伴い、グアムはスペインからアメリカ合衆国へとその支配権が移りました。これ以降、グアムはアメリカの領土となり、初期の頃は主にアメリカ海軍の管理下で統治が行われることになります。

第二次世界大戦が勃発すると、太平洋戦線の一部としてグアムも戦火に見舞われます。1941年、日本軍がグアムに侵攻し、島に駐留していたアメリカ軍を排除してグアムを占領しました。この時、島は「大宮島」と改称され、日本の統治下に置かれました。しかし、約3年後の1944年8月、アメリカ軍がグアムへの再上陸作戦を敢行し、激しい戦闘の末に島を日本軍から奪還しました。この戦争中の出来事は、アガット村を含むグアム全島の風景や人々の暮らしに甚大な影響を与えました。

戦後、アガット村は復興の道を歩み、現在に至ります。過去の激動の歴史を経て、自然豊かな景観と歴史的な遺産が共存する地域として、多くの訪問者を受け入れています。

関連項目

グアムの都市一覧

参考文献

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