アギーレ/神の怒り

映画『アギーレ/神の怒り』の概要

『アギーレ/神の怒り』（原題: Aguirre, der Zorn Gottes）は、1972年に公開された西ドイツの映画です。監督を務めたのは、名匠ヴェルナー・ヘルツォーク。本作は、映画ファンや批評家から高く評価され、2005年にはタイム誌が選ぶ歴代映画ベスト100にも選ばれています。また、スティーヴン・シュナイダーの著書『死ぬまでに観たい映画1001本』にも掲載されています。

ストーリーの背景

映画の舞台は1560年で、スペインの探検隊が南米のアンデス山脈に向かう旅を描いています。隊は、副隊長ロペ・デ・アギーレの指揮のもと、伝説の黄金都市エル・ドラドを求めて進みます。この探検は、彼らの運命がどのように変わっていくのかを描く重要なテーマとなっています。

登場人物

映画には多くのキャラクターが登場し、それぞれが物語に深みを与えています。

• - ロペ・デ・アギーレ（演：クラウス・キンスキー）: 本作の中心人物であり、自己中心的で狂気に満ちたキャラクター。
• - イネス・デ・アティエンサ（演：エレナ・ロホ）: 分遣隊長ウルスアの愛人で、物語における重要な存在。
• - ガスパール・デ・カルバハル（演：デル・ネグロ）: 分遣隊の随行修道士として、信仰と道徳の対立を象徴。
• - ペドロ・デ・ウルスア（演：ルイ・ゲーハ）: 分遣隊長であり、アギーレとの対立を通じて緊張を生むキャラクター。
• - フローレス（演：セシリア・リヴェーラ）: アギーレの娘であり、家族の絆を物語の要素として強調しています。

制作面

本作の制作は、ヴェルナー・ヘルツォークによる独特な視点が反映されており、撮影はトーマス・マウホが担当しました。音楽はポポル・ヴーによるもので、映像と音楽の融合がスリリングな体験を生み出しています。編集はベアーテ・マインカ＝イェリングハウスが行い、作品のテンポやリズムを巧みに作り出しました。

歴史的背景と事実との乖離

映画のポイントの一つは、実際の歴史的事件との見解の相違です。実際にはアギーレ一行はアマゾン川を渡り、大西洋への到達を果たしました。そして、スペイン王室に対抗した事件もありましたが、彼らは敗北し、アギーレは捕らえられた結果、刑死に至ります。また、ゴンサロ・ピサロは1548年に処刑されているため、本作の描写には事実との食い違いが存在します。

関連作品

本作には後の時代に類似のテーマを扱った映画も存在しています。1987年には『エル・ドラド』という映画が公開され、同じ題材に挑んでいます。また、1984年には『アギ 鬼神の怒り』という日本映画が本作から影響を受けた作品として知られています。

総評

『アギーレ/神の怒り』は、その独特の映像美と深いテーマ性で、多くの視聴者を魅了し続けています。映画は探検の悲劇や人間の狂気、そして権力への執着を描写しており、観る者に深い考察を促す作品となっています。

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