アクションバンド

アクションバンド電波

『アクションバンド電波』は、1987年に刊行された月刊誌で、正式には「アクションバンドでんぱ」と呼ばれています。株式会社マガジンランドによって発行され、通称は「AB」と略されました。この雑誌は、東京都八王子市の無線販売店パックスラジオの店主と、月刊ラジオライフに関与していた編集者たちの協力によってスタートしました。当初の編集長である伊藤英俊のもと、楽しく無線情報を提供することを目指しました。

創刊の背景と意義

『アクションバンド電波』は、先行する雑誌「月刊ラジオライフ（RL）」と競合する形で創刊されました。RLでは取り扱わなかったアマチュア無線や業務無線、さらにはハッキングに関する情報を積極的に発信し、特に送信改造の方法については前例を覆す取り組みがなされました。さらに、当時の社会問題にも触れ、偽造テレホンカードの解析記事などを特集することで話題を呼びました。こうした取り組みは、無線愛好家たちの間で人気を博しました。

雑誌の特長とコンテンツ

創刊当初、自らを「おもしろ無線」と位置付け、読者にとってエンターテインメント性の高い内容を心掛けました。また、アナログFMによる携帯電話通信の黎明期にあたるため、その受信方法についても詳しく解説しました。特に、無線機の送信改造方法を紹介した別冊「送信改造バイブル」や、小型の周波数情報を収録した「周波数バイブル」といった付加価値のある発行物も人気がありました。

意欲的な内容は多くの無線ファンに受け入れられましたが、一方でその内容は現行法とどう向き合うのかという議論も招くことがありました。休刊前には「コミュニティFM番組表」を特別付録として提供することもあり、常に読者のニーズを最優先にする姿勢が見られました。

編集体制の変化

1993年、ABの編集を手掛けるため「自遊舎」が設立されました。しかし、1997年にはABの編集から撤退し、最終的に1999年に新たに「電波ワールド」という類似の雑誌を創刊しました。このことは、ABとRLの流れを引き継ぐかたちで、さらなる分岐を生む結果となりました。

文化的な影響

『アクションバンド電波』は、その編集方針や特集によって多くの無線愛好家たちに影響を与えました。1992年には映画『七人のおたく』において、「受信おたく」についての監修も行い、広い範囲での認知を得ていました。また、1998年には朝日新聞の特集記事で取り上げられ、その存在感を再確認されることとなりました。

終焉とその後

残念ながら、2005年10月号をもって『アクションバンド電波』は休刊となり、その幕を下ろしました。しかし、当初の創刊理念や活動が多くの愛好者にとって重要な時代であったことは間違いなく、今もなおその影響は感じられています。また、周波数情報を収録した「周波数バイブル」は現在でも「歌の手帖」の別冊として毎年発刊され続けており、その名残を感じさせます。

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