アクティブSETI

アクティブSETIの概要

アクティブSETI、またの名をアクティブセティ（英語: Active SETI）は、地球外の異星文明に向けてメッセージを送信し、地球の存在を認識させる試みです。この活動は、主に受信波の解析を行うパッシブSETI（Passive SETI）とは対照的に、自ら能動的に他の文明に向けて情報を発信する点が特徴です。特に、ロシアの天文学者アレクサンドル・ザイツェフが提唱したMETI（Messaging to extraterrestrial intelligence）というアプローチに関連しても語られます。

アクティブSETIの意義

アクティブSETIの意義は、単独の文明がパッシブ方式だけでは他の知的生命体を見つけられないという現実に根ざしています。つまり、何らかの方法でメッセージを送信しなければ、文明同士の接触は実現しません。しかし、私たちは確実にどの文明にも向けて明確に発信することができないため、無線通信やレーダーなど自然に漏れ出る信号が他の文明に拾われる可能性を期待するしかありません。

例えば、軍事用レーダーからは300光年、天文学用のレーダーを使った場合は最大で3000光年先に位置する文明からの応答を期待することができますが、電波が広がるにつれて輝度は著しく減少し、他の文明に届かないこともあり得ます。

メッセージの設計

異星文明と地球文明との間で共通の通信プロトコルが存在しないことは、アクティブSETIにおける大きな障壁となります。したがって、数多くのプロジェクトでは数学が共通の言語として選ばれ、メッセージ内容を通じた理解を求めています。アレシボ・メッセージでは、ビットマップ形式での視覚情報の送信が行われ、数理的なルールを用いることでメッセージの解読を試みました。

加えて、電波の向きが異星文明に合致しない場合、メッセージが届く可能性は格段に下がります。このため、未知の文明が存在する方向に対して計画的に送信を行うことは困難を伴い、非常に多くの試行錯誤が必要とされます。

過去の動きと実際の成果

アクティブSETIは初期には多くのシンプルなアイデアが提案されてきました。1820年にはカール・フリードリヒ・ガウスが松の木を用いてピタゴラスの定理を表現する案を考案し、またウィーン天文台のヨーゼフ・ヨハン・フォン・リトローが幾何学模様の溝を掘る計画を持ちかけました。1869年にはフランスの物理学者シャルル・クロが太陽光を反射して火星に焼き付けるアイデアを示すなど、様々なアプローチが議論されてきました。

これらの試みは未来の異星人との接触を想像したものでしたが、実際に再現可能な行動には至っていないのが現実です。現代においてもアクティブSETIに関連する活動はさまざまな形で行われていますが、体系的かつ持続的な取り組みは依然として見られていません。

現在の問題点

一方で、アクティブSETIにはそれ自体の問題も抱えています。星間距離が広がる中、メッセージを送信し続けることに対して不安が高まります。文明がメッセージを受け取る前に滅亡してしまうリスクがあるからです。また、返信が得られるまで非常に長い時間を要するため、即効性に欠けるという課題もあります。

さらに、これまで送信されたメッセージのほとんどは特定の個人または小規模な研究チームによるものであり、広範囲の科学者間での合意は未だ形成されていません。このような条件から、アクティブSETIは意義を持ちながらも、実行が困難である実情が浮かび上がります。

このように、アクティブSETIは未知の異星文明との接触を追求する一方で、リスクや倫理的な問題も内包している活動であることを理解することが重要です。

もう一度検索