アグスタ A109

アグスタウエストランド AW109

アグスタウエストランド AW109（またはアグスタ A109）は、イタリアのアグスタ社によって開発された軽量の双発多目的ヘリコプターです。現在、同社はこの機体の開発と販売を進めており、軽快な飛行性能を活かした民間および軍事用途での活躍が期待されています。AW109を基に開発された姉妹機に、単発式のAW119コアラがあります。

開発の歴史

1960年代にアグスタ社は、A109Aというターボシャフト単発機を開発する計画を開始しました。その後、1967年にはエンジンを双発に変更する設計がなされ、アリソン250-C14エンジンを搭載するようになりました。軍用型であるA109Bは開発されなかったものの、8名定員の民間向けモデルA109Cに力を注ぎ、1976年には生産が開始されました。AW109は、救急輸送や捜索活動において高い信頼性を早くから示しました。

1975年には、一時中断されていた軍事用途の開発に再着手し、アメリカ製の対戦車ミサイルBGM-71 TOWを搭載した試作機が製造されました。AW109の胴体はポーランドの航空機メーカーPZL・シフィドニクによって製造されており、500機目の胴体が引き渡されるなど、国際的な協力が進められています。

2008年には、Scott KasprowiczとSteve SheikがAW109Sグランドを使って、ヘリコプターの世界一周最速記録を達成しました。ニューヨークからロサンゼルス間を最速で飛行する記録も打ち立てています。

様々な種類

AW109には多くの派生型が存在し、それぞれ異なる目的に特化しています。例えば、最初の型であるA109Aは、アリソン250-C20Rエンジンを搭載し、1971年に初飛行しました。一方、AW109Eパワーという改良型は、プラット・アンド・ホイットニー・カナダのPW206Cエンジンを採用し、性能が向上しています。さらに、AW109SグランドやAW109SPダビンチなど、特定の要求に応じたモデルが開発され、救急医療などの分野でも使用されています。

軍用と民間の使用

AW109は多くの国で使用されており、軍用モデルは南アフリカ共和国やスウェーデンなどで採用されています。日本国内では、警察や消防など政府機関に加え、民間でもドクターヘリやプライベート用として数機が運用されています。特に鹿児島県では、ドクターヘリとしてAW109EおよびAW109 Grand Newが導入され、米盛病院でも医療ヘリとして利用されています。また、警視庁もAW109 Trekkerを発注しており、幅広い用途で活躍しています。

特記事項

フォークランド紛争の際には、アルゼンチン陸軍がA109を使用し、イギリス陸軍に鹵獲されて以降は特別任務で活用されました。また、特に1988年にはベルギー陸軍に機体を売り込む際に不正な贈賄が発覚し、大きなニュースとなりました。このような政治的な背景も持つAW109は、現在でも技術的な進化を続けており、さまざまな運用国や機関に根付いています。

映画やゲームへの登場

AW109は多くのメディアにも登場しており、映画『ゴジラ』や『ジュラシック・ワールド』において重要な役割を果たしています。また、ゲーム『グランド・セフト・オートシリーズ』でも登場し、その名は広く知られています。

まとめ

アグスタウエストランド AW109は、その軽快な性能と多様な用途から、現代の航空機業界において重要な位置を占めているヘリコプターです。今後もさらなる進化が待たれる中、多くの国や機関での活用が期待されています。

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