アグレガシオン

アグレガシオン：フランスの超難関教員資格

フランスにおいて、アグレガシオン（Agrégation）とは、非常に難関な国家資格であり、中等教育機関（リセやコレージュ）および大学で教鞭をとるための高度な資格です。日本語では「一級教員資格」と訳されることもありますが、「教授資格」や「高等教育教授資格」など、複数の訳語が用いられています。

試験内容と歴史

アグレガシオン試験は、筆記試験と口述試験の両方から構成され、その合格率は非常に低く、高い学力と専門性が求められます。例えば、2000年の歴史学部門の合格率はわずか4.17%でした。

この試験の歴史は古く、1766年に創設されましたが、フランス革命によって一時廃止された後、1808年に復活しました。1821年には、文学、文法、科学の3つの専門分野が正式に定められ、その後、哲学、歴史地理、数学、物理などが加わり、現代では体育や技術など、多岐にわたる専門分野が設けられています。

アグレジェとしてのキャリア

アグレガシオンに合格した者は「アグレジェ（Agrégé）」と呼ばれ、中等教育機関や大学で教員として活躍します。大学では、「プラグ（PRAG, Professeur Agrégé）」という肩書きで教鞭を執りますが、大学教員となるための必須資格ではありません。大学教員の研究職である「Enseignant-chercheur」とは異なり、アグレジェは主に教育に携わる立場となります。

著名なアグレジェ

アグレガシオンは、フランスの著名な知識人や思想家を多く輩出してきたことで知られています。合格者の中には、哲学者のアンリ・ベルクソン、エミール・デュルケーム、ガストン・バシュラール、ジャン＝ポール・サルトル、シモーヌ・ド・ボーヴォワール、モーリス・メルロー＝ポンティ、クロード・レヴィ＝ストロース、歴史家のフェルナン・ブローデル、文学者のジョルジュ・ポンピドゥ、社会学者のピエール・ブルデュー、哲学者ジャック・デリダなど、数多くの著名な人物が含まれています。彼らがアグレガシオンという厳格な選抜試験を通過したことは、その高い学識と能力を証明するものです。それぞれの専門分野において、時代を代表する重要な業績を残しています。

日本の教員資格との比較

日本の教員資格制度とは異なり、アグレガシオンは、その高い難易度と権威から、フランスの教育界におけるトップレベルの資格と言えるでしょう。日本の教員免許状制度と比較すると、アグレガシオンはより専門性が高く、高度な知識と能力が求められる点が大きな違いです。

まとめ

アグレガシオンは、フランス教育制度における最高峰の教員資格であり、その歴史、試験内容、合格者の質など、様々な点で注目に値します。フランスの教育界、ひいては知識社会全体に大きな影響を与え続けている国家資格です。

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