アサヒグラフ

アサヒグラフの概要と歴史

『アサヒグラフ』は、1923年1月25日から2000年10月15日までの約77年間にわたり刊行された、朝日新聞社が発行した週刊のグラフ誌です。この雑誌は、日本における写真雑誌の先駆けとも言える存在であり、時代を反映した記事や特集が数多く掲載されていました。

日本での影響力と特色

特に大正デモクラシーから高度経済成長期にかけての日本社会の様子を伝える重要な資料として、様々な歴史的出来事や世相を記録しました。また、戦争や経済バブル、オイルショックなど激動の時代を背景に、国民に的確で迅速な情報を提供する役割も果たしました。

創刊当初から、視覚的な表現を重視し、写真を駆使した豊富なビジュアルコンテンツが特徴的でした。これにより名実ともに日本を代表するグラフ誌としての地位を確立しました。

創刊と初期の展開

『アサヒグラフ』は1923年に設立され、その初号は同年1月25日に発売されました。しかし、同年9月の関東大震災の影響で一時的に休刊を余儀なくされてしまいます。その後、11月に週刊誌として再刊行され、漫画や特集記事を含む多様なコンテンツが登場しました。その中には、アメリカの漫画『ジッグズとマギー』の日本語版や、日本人漫画家の作品があり、これらは日本の漫画界に大きな影響を及ぼしました。

画期的な報道

1952年8月6日号では、日本で初めて広島の原爆被害に関する写真を掲載し、大きな反響を呼びました。このような画期的な報道により、アサヒグラフは社会的にも高い評価を得ていきました。

発行部数の推移と内容の変化

1970年代になっても、発行部数は10万部を超えていましたが、1980年代以降、報道色が薄れ、文化や人物紹介に焦点を当てた内容にシフトしました。このころから、アサヒグラフは優れた写真家たちの作品を発表する場ともなりました。

休刊とその後の展開

2000年に発行された『シドニー・オリンピック総集編』をもって、『アサヒグラフ』は休刊しましたが、その77年にわたる歴史は多くの日本人に記憶されています。2010年代に入ると、朝日新聞社からスピンオフされた朝日新聞出版が発行した『緊急復刊 アサヒグラフ』が不定期に刊行されるようになり、過去のバックナンバーも復刻されることがありました。

デジタルアーカイブ

また、ウェブサイト「朝日新聞クロスサーチ」では、1923年から1956年までの約2000冊の誌面イメージがデジタル収録されており、これにより当時の内容を手軽にアクセスできる環境が整備されています。論文や研究のための貴重な資料としても利用されている本誌のアーカイブは、多くの人々にとって重要な文化遺産となっています。

まとめ

『アサヒグラフ』は、その創刊から休刊までの間に、日本の社会、文化、芸術を幅広く扱い、視覚的に訴える力を持った媒体として、多くの人々に影響を及ぼしました。今日でもその資料的価値は高く、多くの研究者や愛好者によって大切にされています。

もう一度検索