アサマリンドウ

アサマリンドウ（朝熊竜胆）

アサマリンドウ（学名：Gentiana sikokiana）は、リンドウ科リンドウ属に属する多年草の一種であり、日本固有の植物です。和名のアサマは、最初に発見された三重県の朝熊山（朝熊ヶ岳）に由来します。種小名の sikokiana は、四国産であることを意味しています。

特徴

アサマリンドウは、以下のような特徴を持ちます。

根: 粗いひげ根で、薄黄色をしています。
茎: 直立または斜上し、4条の稜があります。草丈は10-25cm程度です。
葉: 卵形または長楕円形で、長さ3-9cm。革質で先端は尖り、基部は徐々に狭まって明瞭な葉柄に繋がります。縁には波状のしわがあり、光沢を帯びています。3主脈が目立ち、2-4対が対生します。
花: 茎の先端と上部の葉腋に、青紫色の花を上向きに数個つけます。花冠は長さ4-5cmで、表面には薄緑色の細かい斑点があります。
萼: 緑色で、萼筒は長さ約10mm。萼裂片は卵形で5裂し、平らに開きます。花冠副片は小さいです。
蒴果: 花冠から突き出ることはありません。
種子: 披針形で、網目状の模様と狭い翼があります。
花期: 10月から11月にかけて花を咲かせます。

分布と生育環境

アサマリンドウは、日本の本州（紀伊半島南部、中国地方）、四国、九州に分布しています。特に九州山地、四国山地、紀伊山地に特徴的に見られるソハヤキ要素植物の一つとされています。1932年には『三重県植物誌』で朝熊七草の一つとして紹介されました。

主に低山地の林内に生育します。

分類

まれに、リンドウとの自然雑種であるイセリンドウ（G. iseana）が見られることがあります。

以下の品種が知られています。

シロバナアサマリンドウ（Gentiana sikokiana f. albiflora*）：白い花を咲かせる品種です。

リンドウとの識別ポイント

アサマリンドウはリンドウと形態が似ていますが、以下の点で区別できます。

種の保全状況評価

環境省による国レベルのレッドリストには指定されていませんが、香川県では準絶滅危惧（NT）に指定されています。採取や森林開発による生育地の消失が、個体数減少の要因となっています。生育状況のモニタリングや保護活動が求められています。

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