アザミ属

アザミ属（Cirsium）

アザミ属はキク科に分類される属の一つで、学名を Cirsium と表記します。その特徴的な外見と多様性から、世界中で広く親しまれている植物です。

特徴

アザミ属の植物は、多年草または一年草として生育します。葉の縁には鋭いトゲがあり、深く切れ込んでいるものが多く見られます。このトゲこそがアザミ属の大きな特徴の一つです。

花は虫媒花であり、その美しい花粉と蜜で昆虫たちを魅了します。頭状花序と呼ばれる花の集まりは、多数の筒状花で構成されています。多くの種では、一つの筒状花の中に細長く伸びる雌しべと、それを筒状に包む雄しべが備わっています。昆虫が花に訪れると、雄しべが収縮して雌しべと接触し、花粉が外へとかき出される仕組みになっています。これは、アザミ属が効率的に受粉を行うための巧妙な戦略と言えるでしょう。

しかし、アザミ属の中には、両性花を持つ個体と、雄しべに花粉を持たない（つまり、実質的に雌花である）個体が存在する種もあります。さらに、雌花のみを付ける株と、雄花のみを付ける株に分かれる雌雄異株の種も存在します。このように、アザミ属は多様な性の表現を持つ、興味深い植物群です。花の色は、主に紫色系統の色合いです。

分布

アザミ属は、北半球の温帯から寒帯にかけて広く分布しています。その分布域は非常に広く、北アメリカには約90種、ヨーロッパには約60種、中国には約50種、そして日本には60種以上が生息しています。世界全体では、約300種ものアザミ属の植物が存在するとされています。紫色の丸い花、切れ込みとトゲのある葉といった特徴を共有しつつ、活発に種分化を遂げた結果、これほど多様な種が生み出されたと考えられています。

日本産のアザミは、その多様性において特筆すべき点があります。なんと、4種を除くすべてが日本固有種なのです。これは、日本列島という地理的な隔離と、多様な環境がアザミ属の進化を促した結果と言えるでしょう。分布域が比較的広い種もあれば、鳥海山にのみ生育するチョウカイアザミや、白馬岳にのみ生育するダイニチアザミのように、極端に狭い地域にのみ分布する地域固有種も少なくありません。また、分布域が隣接する地域では、種間雑種が容易に生じることが知られています。

日本の主な種

日本には多種多様なアザミが生育しています。以下に、その一部をリストアップします。

アイズヒメアザミ
ダキバヒメアザミ
キンカアザミ
セイヨウトゲアザミ
タテヤマアザミ
ダイニチアザミ
ビッチュウアザミ
オガサワラアザミ
オニアザミ
シマアザミ
イリオモテアザミ
ヒメアザミ
ノマアザミ
チョウカイアザミ

(以下、リストは省略。提供されたリストを参照してください)

関連項目

アザミ

参考文献

『週刊朝日百科植物の世界』2（アザミ　ノシギク　ハマギク）、朝日新聞社、1994年4月24日発行。
佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物　草本III 合弁花類』、1981年、平凡社
アザミ属　oNLINE植物アルバム

アザミ属は、その美しい花と独特な形態で、私たちを魅了し続ける植物です。その多様性を理解し、大切に保護していくことが重要です。

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