頭状花序

頭状花序（Capitulum）とは

頭状花序は、主にキク科植物に見られる独特な花序の形態です。一見すると一つの花のように見えるかもしれませんが、実際には多数の小さな花（小花）が集まって形成されています。

概論

タンポポを例にとると、円形に並んだ多数の花びらに見えるものは、それぞれが独立した小花です。これらの小花は、雄しべや雌しべを持つ花の構造を備えています。つまり、タンポポの「花」は、多数の小花が集まった花序なのです。

通常の植物では、枝分かれした枝の先に花が咲きますが、頭状花序では、枝が極端に短縮され、多数の花が一つの場所に密集しています。このような形態を頭状花序と呼びます。キク科の植物だけでなく、マツムシソウ科などでも見られます。また、完全な頭状花序でなくても、花が密集して塊状になっている状態を「頭状」と表現することがあります。

構造

頭状花序は特殊な花序であるため、個々の小花は縮小され、花序の構成要素としての役割を果たします。ここでは、キク科の植物を例に構造を説明します。

小花（しょうか）: 頭状花序を構成する個々の花。
頭花（とうか）/ 頭状花（とうじょうか）: 小花が集まって形成される花全体の名称。
花床（かしょう）: 花茎の先端が平らになった部分で、小花が並ぶ場所。
総苞片（そうほうへん）: 花床の周辺に並び、内部の小花を保護する萼のような構造。

キク科の小花には、大きく分けて以下の2つの形態があります。

1. 筒状花（つつじょうか）/ 管状花（かんじょうか）: 花びらの基部が細い筒状になり、先端が5つに分かれて星形になった花。ヒマワリやガーベラの中心部分に見られます。
2. 舌状花（ぜつじょうか）: 花びらの基部が細い筒状になり、先端が一方向に大きく広がる花。タンポポやヒマワリの外側の花びらに見られます。

筒状花の詳細

筒状花は、基部に子房があり、その先端から花弁が出ます。花弁の周辺には、冠毛と呼ばれる毛状の構造が見られることがあります。これは萼に相当するものです。花弁の筒状の部分は狭筒部と呼ばれ、先端に向かって広がる場合は広筒部と呼ばれます。先端は通常5つに分かれていますが、小さいことが多く、花弁の存在に気付きにくい場合があります。しかし、ヤグルマギクのように、花弁が大きく広がり装飾的な役割を果たすものもあります。アザミやコウヤボウキなどでは、先端が長く伸びて目立つようになります。

筒状花の中心からは雌しべが伸び、その周りを5本の雄しべが取り囲んでいます。

舌状花の詳細

舌状花は、基部の構造は筒状花と同様ですが、花弁の先端が片側に大きく伸びて広がっている点が異なります。花弁の基部の筒状の部分を筒部、先端の広がった部分を舌状部と呼びます。タンポポのように頭花全体が舌状花で構成されているものもあれば、ヒマワリのように中心部に筒状花が密集し、周辺に舌状花が並んで装飾的な役割を果たしているものもあります。装飾的な舌状花は、雌花であることが多いです。

ギャラリー

以下は、全てキク科の植物の頭状花序の例です。

(画像は省略)

頭状

頭状花序ではないものの、花が枝先の一点に集まって咲く様子を「頭状」と表現することがあります。

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