アシエンダ制

アシエンダとは

アシエンダ（スペイン語: hacienda）は、主にメキシコや中米、そしてアンデス地域に見られる伝統的な大農園を指します。この用語は、かつてスペインによる土地の大規模な所有を表しており、特にラティフンディオと関連しています。アシエンダの所有者は「アセンダード」と呼ばれ、これに類似するブラジルの大土地所有はファゼンダと呼ばれています。アシエンダの生産活動は農業に留まらず、プランテーションや鉱山、さらには工場など多岐にわたる場合があります。

アシエンダの起源

アシエンダの歴史は、16世紀にまで遡ります。当時、スペイン人の入植者は先住民が居住していた土地に直面し、土地の取引が困難でした。しかし、先住民の人口が減少するにつれ、土地の価値が変わり、スペイン人は先住民の空き地を購入し始めました。このプロセスを通じて、スペイン当局から土地を贈与された結果、アシエンダの畑が形成されました。そのためアシエンダとは当初「財産」を意味していましたが、次第に「土地」という意味に変わっていきました。特に、土地の値崩れにより、アシエンダの広さは広大で、数百ヘクタールから数万ヘクタールに及ぶことが一般的でした。

18世紀には先住民の人口が回復し始めましたが、多くのアセンダードは先住民に土地を売却せず、広大なアシエンダが隣接する土地で先住民の土地は細分化されていきました。これにより、ラテンアメリカの農業において大土地経営と零細経営が併存する構造が作られ、今日に至るまで影響を及ぼしています。

アシエンダの経営と労働力

アシエンダでは、小作地と直営地に分けられ、地主が家父長的な権力を持つ小さな社会が形成されます。小作地は、雇役小作、分益小作、賃小作に分類され、地元の農業労働者が低賃金で働く一方で、直営地では専門の農業労働者が雇われます。アシエンダの運営者の中には、農場に住まずに主要都市や国外に居住し、農場経営を監督者に委ねるケースもありました。

アシエンダ経営は19世紀の独立革命にも影響を受けず、その後の自由主義改革や資本主義の発展を通じて、逆に大土地所有が一層促進されました。これが、農民の大規模な土地喪失を引き起こし、1911年のメキシコ革命の一因となるのです。このような土地改革は、20世紀中頃までラテンアメリカ各国で続けられました。

アシエンダの類型

ラテンアメリカの伝統的なアシエンダは、大きく次の3つに分類されます：
1. サトウキビ農場 - ブラジル北東部やカリブ海諸島で黒人奴隷の労働を基盤にしている。
2. エスタンシア - アルゼンチンのパンパスでガウチョの労働力に依存する牧畜アシエンダ。
3. 先住民労働 - メキシコ、中央アメリカ、アンデス地域、一部カリブ海諸島において先住民の労働を背景にしている。

19世紀後半、欧米からの投資によりプランテーション農業が導入されると、これらの農場は新技術や労働集約型のフレームワークを取り入れ、資本主義的な性格を持っていきましたが、従来の半農奴的な労働関係も維持されていました。このように、アシエンダはラテンアメリカの歴史や農業経済において重要な役割を果たしてきました。

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