アシナガサラグモ

アシナガサラグモの詳細解説

アシナガサラグモ（学名: Neriene longipedella）は、サラグモ科に属するクモの一種で、同科の中では比較的大型であり、よく見られる種の一つです。その名の通り、細く長い脚と、独特な伏せ皿型の網を張るのが特徴です。

特徴

アシナガサラグモの雌成体の体長は4.5～6.5mm程度で、サラグモ科の中では大きい部類に入ります。足は非常に細長く、全身が華奢な印象を与えます。頭胸部と腹部はともに卵形をしており、頭胸部は黄褐色から褐色で、周辺部は色が薄くなっています。頭部はやや盛り上がっており、腹部背面は白色で、前半部には中央に縦の黒い条とその両側に二対の黒斑、後半部には横長の黒斑が三つあります。雄ではこれらの模様は不明瞭になる傾向があります。

歩脚は黄褐色ですが、生きている時は緑色を帯びることがあります。腹面は黒っぽく、黄色を帯びた斑紋が目立ちます。

生態

アシナガサラグモは、草の間や樹木の低木の枝などにドーム状の網を張ります。この網は皿網と呼ばれ、特徴的な形状をしています。成体は6月下旬から9月頃まで見られ、特に夏の間によく活動します。繁殖期には、雄成体が雌の網に侵入して交尾を行います。

分布

日本国内では、北海道から九州、そして奄美諸島まで広く分布しています。北海道では平地から低山地にかけて、本州以南では主に山地で見られます。海外では、ロシア東部、中国、韓国にも分布しています。

分類

アシナガサラグモは、同属のシロブチサラグモと似た環境で見られることがあります。シロブチサラグモはアシナガサラグモほど足が長くなく、背甲が黒褐色で縁が白いのが特徴です。北海道ではタイリクサラグモも普通に見られます。また、ユノハマサラグモも似たような場所に生息していますが、アシナガサラグモはこれらの種に比べて成熟が遅く、夏の後半まで見られることが多いです。より一般的な種としては、ヘリジロサラグモが日本全土で山間部から都市周辺まで広く分布しています。

なお、分類学においては、小野（2009）によってアシナガサラグモやシロブチサラグモなどがシロブチサラグモ属 (Prolinyphia) に分類される場合があり、その際にはアシナガサラグモの学名は P. longipedella となります。

出典

小野展嗣編著、『日本産クモ類』、(2009)、東海大学出版会
新海栄一、『日本のクモ』,(2006),文一総合出版

外部リンク

* ウィキスピーシーズには、アシナガサラグモに関する情報があります。


アシナガサラグモは、その独特な形態と生態で、自然観察の対象としても興味深いクモです。その細長い足と皿状の網は、他のクモとは異なる特徴を示しており、生態系の中での役割も注目されています。

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