アシャヤカトル

アシャヤカトル（Axayacatl）の生涯と業績

アシャヤカトル（1450年頃 - 1481年）は、アステカ文明の中心地であるテノチティトランの第6代トラトアニ、およびアステカ帝国の君主として知られる人物です。彼の名前は「水の顔」を意味し、アステカの象形文字では水滴が落ちる様子で表されています。彼は1450年頃に生まれ、1469年に19歳の若さでトラトアニの位を継承しました。この時、彼はまだ政治や戦争の経験がほとんどなく、未熟な統治者と見なされていましたが、彼の治世は戦争と拡張の時代となりました。

アシャヤカトルの治世中には、特に著名な戦争がいくつかありました。なかでも1473年のトラテロルコの征服が挙げられます。この商業の中心地であるトラテロルコを征服したことで、彼はそのトラトアニであるモキウィシュを殺害しました。モキウィシュはアシャヤカトルの姉妹と結婚していたため、彼女の侮辱が戦争のきっかけとされることもありますが、経済的な要因が主な原因と考えられています。この戦争によって、アステカの勢力圏はさらに広がりました。

しかし、アシャヤカトルはすべての戦争で成功したわけではありません。彼はまた、ミチョアカン一帯に根を張るタラスカ王国との戦争で初めての大敗北を経験します。この敗北はアステカ帝国にとって非常にショックな出来事であり、結果的に彼自身も重傷を負います。アシャヤカトルは1478年から1479年にかけて約2万4000人の兵を率いてタラスカ王国を攻撃しましたが、2万近くの将兵が命を落とすか捕虜になり、彼自身も傷を負いました。

さらに、彼の治世には他にも重要な出来事がありました。アステカ三国同盟の重要な一翼を担っていたテスココの指導者ネサワルコヨトルが1472年に死去し、トラコパンのトトキワストリも亡くなります。この時に、メシカに対抗する勢力がほぼ一掃され、アステカ帝国内でのメシカの地位が不動のものとしました。

アシャヤカトルは戦争だけでなく、政略結婚を通じて多くの妻を持ち、子をもうけました。彼の子供たちの中には第9代トラトアニのモクテスマ2世と第10代トラトアニのクィトラワクがいます。彼の治世は、アステカ帝国の歴史において重要な位置を占めていることは間違いありません。

2020年には、アシャヤカトルの宮殿の跡と考えられる遺跡がメキシコシティの中心部において工事中に発見され、歴史的な関心を引きました。彼の治世に関するさらなる研究が期待されています。

アシャヤカトルの治世は、アステカ文明の発展において重要な時代を示しており、彼の業績は後のアステカ帝国の基盤を築く一助となりました。

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