アシュラ (漫画)

『アシュラ』

『アシュラ』は、著名な漫画家ジョージ秋山によって創作された、日本の漫画作品です。また、この作品を原作としたアニメ映画も存在します。1970年代に連載された本作は、特に人肉食などの過激な描写が原因で、世間から大きな批判を受けました。

概要

この作品は、1970年32号から1971年22号まで『週刊少年マガジン』に連載されていました。第1話では、飢餓の影響で人間同士が殺し合い、さらには母親が自らの子を食べようとする非常に衝撃的なシーンが描かれ、それがきっかけで1970年32号は神奈川県で有害図書に指定されました。このため、未成年者への販売が禁止されたのです。各地の自治体でも同様の措置が取られ、社会問題にも発展しました。また、作者の秋山には多くのメディアから取材が殺到し、一躍時の人となりました。

これに対し、1970年34号では企画の意図を説明する文章が掲載されました。主人公が宗教的な視点に目覚め、自身の人生の指針を確立することが語られましたが、実際にはそのテーマは最後まで描ききれず、最終話を迎えてしまいます。しかし、1981年には『週刊少年ジャンプ』に読み切りとして完結編が発表され、自身の存在の意味を見出す話が展開されました。

また、単行本は過去にいくつかの出版社から発行され、2012年には幻冬舎より文庫版が再刊されるなど、作品としての地位を確立しています。完結編は、ジョージ秋山の選集に収められています。

あらすじ

物語は、平安時代の末期を舞台に展開します。この時期、飢饉により多くの死体が横たわっている状況下で、一部の人々は他者を襲い、人肉を貪り食べることで生き延びています。その中に一人の妊婦がいます。彼女は生んだ子供に「アシュラ」と名付け、初めは愛情を注ぎますが、空腹に耐えられなくなり、遂にはその子を食べようとします。しかし、突如として起こった雷雨でアシュラは川に流され、岸にしがみつくものの、一人では生きることができず、動物のような生活を余儀なくされます。

やがて、アシュラは人狩りに捕まって人間社会に戻ります。そこでは、仲間や愛情を知ることになりますが、自己の出生の秘密を知ることで苦悩します。最終的に、人々との関わりによって生じる問題に向き合いつつ、仲間たちとともに都を目指す決心を固めるのです。

主な登場人物

• - アシュラ：この物語の主人公。育てられなかったため、獣同然に成長した少年。
• - 法師：放浪の僧侶で、アシュラに人間性を教えます。
• - 若狭：農民の娘で、アシュラに言葉を教える善き友。
• - 散所太夫：アシュラの父で、冷酷な性格。
• - 地頭：荘園を管理する男。
• - 藤乃：アシュラの母親。

物語を通じて、アシュラの人間性の成長や、悲しい過去との葛藤が描かれています。

アニメ映画

2012年には、フルCG技術を用いたアニメ映画が公開されました。この映画は、キャラクターのデフォルメや特別なエフェクトを駆使して、手描きのアニメーションに似た趣を再現しています。キャッチコピーは「眼を、そむけるな。」とされ、その過激なテーマを強調しています。

アニメーション制作は東映アニメーションが担当しており、監督や脚本家にも高い評価を得ています。音楽や声優陣も豪華で、多くの人々に感動を与えました。アシュラの物語は、単なるエンターテインメントに留まらず、人間存在や道徳、愛と孤独といった深いテーマも探求しています。

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