アジアビジョン

アジアビジョンの概要

アジアビジョンは、フジテレビジョンの初代社長、水野成夫によって提唱された国際放送ネットワークの構想であり、その実現のために設立された子会社です。この構想は、フジテレビが日本国内のメディアとしての立場を超え、アジア地域、特にアメリカ統治下の沖縄や中華民国の台湾などを含む広範なテレビネットワークを形成するためのものでした。二代目社長の鹿内信隆により継承されたこの計画は、1960年代のグローバル化の波に乗ったものであり、それに先駆ける形で検討が進められました。

目的と途中経過

アジアビジョン構想の主な目的は、フジテレビの地方局ネットワークを拡大し、アジア地域での放送サービスを拡充することでした。このため、フジテレビはアジアビジョンという子会社を設立し、テレビ局の設立計画を進めるとともに、地域の調査作業を行いました。しかし、フィジビジョンが掲げた理想を実現するには多くの課題がありました。実際に開局に至ったのは沖縄テレビのみで、その後台湾電視公司が開局するまでには長い道のりがありました。

コンセプトが具体化されたことで、1961年にはフィリピンのIntercontinental Broadcasting Corporation（IBC）との連携協定が締結されるなど、周辺地域との連携も模索されました。

沖縄テレビの設立

沖縄テレビは、開局前からフジテレビからの支援を強く求めた結果、合弁により「東京沖縄テレビ放送株式会社」という会社が設立されました。フジテレビと沖縄テレビはそれぞれ50%ずつ出資し、この合弁企業の運営を行いました。しかし、その後1962年4月1日にアジアビジョン社が設立され、沖縄テレビはアジアビジョンに吸収されることとなりました。アジアビジョンは、1966年に休眠状態に入りますが、沖縄テレビの業務は沖縄テレビ東京支社及び関西支社に引き継がれ、その他の業務はフジテレビ本社で継続されました。アジアビジョン社自体は1976年度まで存続していました。

台湾電視公司の開局

台湾においても、1961年に「台湾電視事業準備委員会」が設立されました。そこでは、フジテレビ、NEC、東芝、日立の四社がそれぞれ3000万円、合計で1.2億円を出資し、台湾電視公司的な開局に取り組みました。1962年2月28日、フジテレビは台湾電視事業準備委員会との提携協定を結びます。同年4月28日に同委員会が台湾電視公司へ改編され、10月10日から正式な放送が開始されました。フジテレビは、2007年に台湾電視公司が完全民営化されるまで、主要株主としてその役割を果たしていました。

最後に

アジアビジョンは、国際放送とアジア地域のメディアネットワークを実現しようという野心的な試みでしたが、開局時期や地域ごとの特性により、思い描いていたプランの全てを達成することは難しい状況でした。それでも、アジアビジョンは当時の日本の放送ネットワークを国際的な視野で考えさせる重要なステップとなりました。

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