アジア太平洋宇宙協力機構

アジア太平洋宇宙協力機構（APSCO）

アジア太平洋宇宙協力機構（Asia-Pacific Space Cooperation Organization：APSCO）は、アジア太平洋地域の宇宙開発における協力と発展を目的とした国際機関です。2008年12月16日に設立され、本部は中国の北京に置かれています。APSCOは、欧州宇宙機関（ESA）のような地域的な宇宙協力機構であり、日本が主導するアジア太平洋地域宇宙機関会議（APRSAF）とは異なる枠組みで活動しています。

歴史

APSCOの前身は、1992年に中国、パキスタン、タイの間で締結された覚書に遡ります。この覚書は、アジア太平洋宇宙技術応用・多国間協力会議（AP-MCSTA）の設立につながりました。1994年には、バンコクで開催されたAP-MCSTAの会合において、中国、イラン、モンゴル、北朝鮮、タイの5か国が「小型多目的衛星開発計画」に合意しました。これらの動きを経て、2005年10月28日にAPSCO設立の基礎となる「アジア太平洋宇宙協力機構条約（APSCO条約）」が、中国、パキスタン、イラン、タイ、バングラデシュ、モンゴル、ペルーの7か国によって署名されました。調印式には、アルゼンチン、ブラジル、マレーシア、フィリピン、ロシア、ウクライナなどがオブザーバーとして参加し、その後、各国での国内批准手続きを経て、2008年12月16日に正式に発足しました。

参加国

現在のAPSCOの加盟国は以下の通りです。

バングラデシュ
中華人民共和国
イラン
モンゴル
パキスタン
ペルー
タイ王国

インドネシアとトルコが加盟手続きを進めており、ブラジルも加盟を検討中です。

APSCO条約

APSCOの活動を支える基本条約であるAPSCO条約は、2005年10月28日に北京で作成され、2006年まで内容が公開されました。条約の主な内容は以下の通りです。

総則: APSCOの本部は中国に設置され、中国政府との協議に基づき、支部や関連施設を設置することができます。また、加盟国との協議によって、他の加盟国内にも支部や関連施設を設けることができます。
加盟国: アジア太平洋地域の国連加盟国が対象ですが、その他の国も準加盟国として申請が可能です。
財政: APSCOの財源は、加盟国からの分担金、受入国や他の加盟国からの自発的な拠出、他の機関からの寄付や補助金、および外部へのサービス提供による対価で構成されます。各加盟国の分担金額はGDPに基づいて決定され、予算は理事会が決定します。
産業政策: 理事会は、費用対効果の高い産業政策を策定し、加盟国の産業界にAPSCOの関連事業への参加機会を最大限に提供します。また、宇宙技術や製品の開発において、各加盟国の技術的・財政的投資に応じた参加を認めることで、加盟国の産業競争力を強化します。
協力分野: 主な協力分野は以下の通りです。
宇宙技術およびその応用：地球観測、災害管理、環境保護、衛星通信、衛星航法・測位など。
宇宙科学調査：科学者や技術者の教育・訓練、交流の実施。
情報共有：技術情報やその他の情報を普及させるための中央データバンクの設立。
その他：宇宙空間平和利用委員会（COPUOS）との協力、人材交流、紛争解決、知的財産権など。

協力プログラム

APSCOは、以下のような協力プログラムを実施しています。

訓練プログラム: リモートセンシング技術、地上受信局運用技術に関する研修などを実施しています。
シンポジウム: 電磁気を用いた地震早期警戒衛星の活用に関する国際会議などを開催しています。
* 宇宙開発協力: 環境・自然災害監視用の小型多目的衛星（HJ-A/B）を共同運用しています。2009年6月には、中国の環境・災害観測衛星「環境1号A星」の地上通信基地をタイ国内に建設することで合意しています。




APSCOは、アジア太平洋地域における宇宙技術の発展と、その平和的な利用に貢献することを目指しています。

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