欧州宇宙機関

欧州宇宙機関（ESA）

欧州宇宙機関（European Space Agency, ESA）は、1975年5月30日に設立された施設で、欧州内の各国が協力して宇宙開発を進める目的で作られました。設立当初は10か国の参加で始まりましたが、現在では22か国に増え、2000人以上のスタッフがさまざまな活動に従事しています。

本部はフランスにあり、フランス国立宇宙センター（CNES）が大きな役割を果たしています。その後、ドイツやイタリアも重要な位置を占めており、主な打ち上げ場はフランス領ギアナにあるギアナ宇宙センターです。ESAは「アリアンシリーズ」という人工衛星打上げロケットを開発しており、アリアンスペース社を通じて民間衛星の打ち上げを行っています。2010年には、ロシアやアメリカの有力な打ち上げ手段に匹敵するシェアを持つまで成長しました。2014年には受注数で60%のシェアを確保しています。

ESAと欧州連合（EU）は密接な関係にありますが、ESAはEUの専門機関ではありません。加盟国の主権を尊重しながら、各国が自主的にプログラムに参加する政府間機関として運営されています。リスボン条約の中では、欧州連合とESAは適切な関係を築くことが求められています。

歴史

欧州では、1960年代に独自の宇宙開発を進めていたイギリスやフランスの努力がありましたが、アメリカやソ連の宇宙競争には太刀打ちできませんでした。そのため、1964年に欧州ロケット開発機構（ELDO）が設立されましたが、打上げロケットの開発が難航しました。欧州宇宙研究機構（ESRO）もあり、こちらはアメリカに打上げを依頼していましたが、双方での協力の必要性が認識されました。

1975年にESAが設立され、アリアンロケットの開発に着手しました。1979年にはアリアン1の初打上げに成功し、その後アリアンのシリーズが続々と開発されました。さらに、人工衛星を用いた地球観測や太陽系内の探査機の研究開発に力を入れ、NASAとの共同プロジェクトも行われています。

ESAは現在、有人宇宙船を保有しておらず、有人宇宙飛行は実施していませんが、国際宇宙ステーションへの補給や実験棟の提供で参加しています。アリアンシリーズに加え、より小型の衛星向けにヴェガという打ち上げシステムも開発し、2012年から運用しています。

加盟国と協力

現在の加盟国には、ラトビア、リトアニア、スロバキア、スロベニアの準加盟国や、ブルガリア、クロアチア、キプロスといった協力国が含まれています。トルコやウクライナ、イスラエルも協力協定に参加しており、カナダは特別協力国として、ESAの意思決定にも参画しています。

予算の概要

ESAの予算は、主にロケットの開発に使われており、2005年度は約30億ユーロでした。フランス、ドイツ、イタリアが全体の約66%を負担しています。加盟国は自国のGDPに基づく義務的な予算と、任意で決定する選択的予算の二本立てとなっており、これにより加盟国の企業に契約が配分されています。近年、安価な打ち上げサービスが増加する中で、ESAの予算配分についての意見も出てきています。

宇宙計画と実績

ESAは数多くの宇宙計画に取り組んできました。これまで実施済みのプロジェクトには、ハッブル宇宙望遠鏡、ハレー彗星探査機が含まれます。現在は、ガリレオ衛星システムやオーロラ計画として有人探査の構想も進行中です。また、重力波宇宙望遠鏡のLISAや木星探査計画なども計画されています。

ESAは、過去の実績に加え、今後も宇宙分野におけるリーダーシップを維持し続けることを目指しています。

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