アスクレピオス (漫画)

アスクレピオス

『アスクレピオス』は、内水融による日本の漫画作品。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて、2008年から2009年にかけて連載されました。中世ヨーロッパを彷彿とさせる世界観を舞台に、医療とファンタジーの要素を組み合わせた異色の作品です。

あらすじ

物語は、教会が絶対的な権力を持つ時代を舞台に展開されます。主人公は、教会から異端者として追われるメディル家の末裔、バズ。彼は「アスクレピオス」の名を受け継ぎ、禁じられた手術を用いて人々を救い続けます。

用語解説

アスクレピオス

メディル家の医術を受け継ぐ者の称号であり、同時に医神の名前でもあります。彼らはメスを用いた外科手術など、当時としては革新的な治療法を実践しますが、教会の教義に反するため、異端者として迫害されます。世間からは「切り裂き魔」と呼ばれることも。

血命録（ビブロス）

アスクレピオスの証であり、治療した患者の血判を記した名簿。教皇ガルパ4世からメディル家に与えられた書物で、全てのページを患者の名で埋めると、アスクレピオスは医者として認められるという契約が交わされています。血でしか文字が書けない特殊な書物で、全て埋まった際に何が起こるかは不明。

杖（ビルガ）

アスクレピオスの証の一つ。内部にはメスなどの医療器具が収納されています。

神の目

バズが持つ特殊能力。左手を患者に当てることで、バイタルサインを読み取り、適切な処置を見抜きます。

神の霧

バズが手術に使用する麻酔薬のようなもの。

メディル家

遍歴医師の家系。アスクレピオスの医術を継承しているため、教会から異端者として追われています。

テレスフォス家

メディル家に代々仕える従者の家系。現在の当主はロザリィ。

教会

絶対的な権力を持つ組織。教会の教えに背く者は異端者として処刑されます。

聖騎士

教会直属の騎士団。異端者の処刑などを担当。

主要人物

バズ・メディル・アスクレピオス

本作の主人公。メディル家の当主で、アスクレピオスの名を受け継ぐ少年。臆病な性格ですが、人々を救いたいという強い意志を持っています。左手の甲に神の目を宿しています。

ロザリィ・テレスフォス

テレスフォス家の当主。バズを献身的に支える少女。口癖は「〜っス」。護衛としての能力も高く、アスクレピオスの名を汚す者を許しません。

パレ

外科医を目指す青年。バズの医術に感銘を受け、行動を共にします。ロザリィとは犬猿の仲だが、頼れる存在です。

アスクレピオスの関係者

ポスターレ

「伝達屋」として、メディル家を支援する謎の人物。仮面で素顔を隠しています。

サグ・メディル・アスクレピオス

バズの父親で、先代のアスクレピオス。異端者として処刑されました。

ドミニク・テレスフォス

ロザリィの祖父。サグと共に旅をしていましたが、聖騎士に殺害されました。

教会関係者

ユリアヌス

教皇。かつてサグに命を救われたことがあり、アスクレピオスの腕を認めています。
ヴィテリウス

司教。次期教皇の座を狙い、アスクレピオスを脅威とみなしています。
カリギュラ

聖騎士の隊長。残忍な性格で、アスクレピオスを憎んでいます。
コルブロ

「死神の聖騎士」の異名を持つ男性。ユリアヌスの直接の護衛。
ネロ

教会の医師長。バズの公開手術後、アスクレピオスの実力を認めます。

その他

ラウラ

サン・デソー峠の麓の村に住む少女。腫瘍が原因の病気だった。
カジモド

サン・デソー峠に住む樵。造鼻術によって鼻を取り戻した。
イアン

ヴィゴー市に住む少年。バズに腫瘍を除去してもらった。
ローラ・ローマン

イアンの専属の女医。バズに敵対心を持つも、考えを改める。

読切版

『週刊少年ジャンプ』2007年19号に掲載された読切版も存在します。連載版とは設定やキャラクターの性格に差異が見られます。

単行本

全3巻で刊行されています。

関連項目

* アスクレーピオス：ギリシア神話に登場する医神。作品名の由来となっています。

『アスクレピオス』は、医療というテーマを通して、人間の生き方や価値観、そして社会のあり方を問いかける作品です。ぜひ一度手に取って、その世界観に浸ってみてください。

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