アスコイティア

はじめに

アスコイティア（バスク語: Azkoitia、スペイン語: Azcoitia）は、イベリア半島北東部、スペインのバスク自治州に属するギプスコア県に位置するムニシピオ（基礎自治体）です。その正式名称はバスク語のAzkoitiaと定められています。この町は、歴史的にも地理的にも独特な特徴を持ち合わせています。

地理

アスコイティアは、ウロラ川が形成する谷の中央部分に広がっています。周囲はバスク山脈の峰々に囲まれており、町並みは比較的起伏の少ない沖積平野を中心に展開していますが、自治体の領域全体では地形は変化に富んでいます。市街地の標高はおよそ113メートルですが、自治体内の最高地点は950メートルにも達します。ギプスコア県内の行政区分としては、ウロラ＝コスタ郡の一部を構成しています。近隣には、東にアスペイティア、北にマダリアガ、南にはエロスアやアラツェレカといった自治体が隣接しています。

かつては、ウロラ川の流れに沿ってウロラ鉄道という狭軌鉄道が運行されていました。この鉄道は、内陸部のスマラガからアスコイティアや東隣のアスペイティアを経由し、カンタブリア海に面したスマイアまでを結んでいましたが、その運行は1986年に惜しまれつつ休止されました。

歴史との繋がり

アスコイティアは、カトリック教会最大の男子修道会の一つであるイエズス会の創設者、イグナチオ・デ・ロヨラ（サン・イグナチオ）の母親が生まれた場所として、特に歴史的に重要な意味を持っています。15世紀中頃、ロヨラの母方の祖母にあたるマルティン・ガルシア・デ・ロヨラは、この地の「バルダの塔」を購入しました。そして1467年7月13日には、マルティンの娘であるマリア・サエンス・デ・リコナ・バルダと、東隣のアスペイティア出身のベルトラン・イバネス・デ・オナス・イ・ロヨラとの結婚式が執り行われました。この時の結婚契約書は現在も保存されており、両家の結びつきを示す貴重な史料となっています。

ロヨラ自身が生まれた場所はアスコイティアではなく、アスペイティアにある彼の生家（現在のロヨラ城塞）ですが、アスコイティアの中心部からはわずか数キロの距離に位置しており、イエズス会によって博物館として保存されているこの生家は、多くの観光客が訪れる主要な観光スポットとなっています。アスコイティアは、ロヨラの母方のルーツに関連する地として、その歴史の一端を担っています。

人口動態

2004年12月31日時点でのデータによると、アスコイティアの総人口は10,496人でした。性別に見ると、男性が5,234人で全体の49.87％、女性が5,262人で50.13％と、ほぼ均衡しています。年齢構成では、年少人口（0歳から14歳）が1,349人で全体の12.85％、生産年齢人口（15歳から64歳）が7,073人で67.39％、そして老年人口（65歳以上）が2,074人で19.76％となっています。これは、当時のスペイン全体の平均と比較しても、生産年齢人口が比較的厚い構成であると言えるかもしれません。

その他の情報

自治体の公式サイトはスペイン語とバスク語で提供されており、地元の文化や情報を発信しています。また、アウニャメンディ百科事典などでも、アスコイティアに関する詳細な情報を得ることができます。

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