ムニシピオ

スペインのムニシピオ：地方自治体の基礎単位

スペインにおける地方自治体の最小単位であるムニシピオは、約8,000存在する基礎自治体を指します。これらのムニシピオは、50の県を構成し、さらに17の自治州へと階層的に組織されています。ただし、一部の自治州では、ムニシピオと県の間にコマルカやマンコムニダードといった中間層の地方区分が存在することも特徴です。

ムニシピオの規模と分布

ムニシピオの平均人口は約5,300人ですが、その規模には大きなばらつきがあります。大都市マドリード（2009年時点で約326万人）のような巨大なムニシピオが存在する一方で、人口10人程度の小さなムニシピオも地方部には点在しています。面積に関しても同様で、標準的な2～40平方キロメートルから、400平方キロメートルを超えるような広大なムニシピオも存在します。

特に小規模なムニシピオが多い地域としては、カスティーリャ・イ・レオン州、カタルーニャ州、カスティーリャ＝ラ・マンチャ州などが挙げられます。1999年時点でのムニシピオの平均人口はEU平均（4,000人）を上回っていました。ムニシピオの数は、1900年の約9,300から1960～70年代にかけて減少しましたが、1981年以降は増加傾向に転じ、2016年には8,125に達しています。

ムニシピオの組織と運営

ムニシピオの組織は、1985年4月2日の法律と1986年4月18日の国王令によって規定されました。それぞれのムニシピオは独立した法人格を持つ自治体であり、その運営機関は、カスティーリャ語でayuntamiento、カタルーニャ語でajuntamentなど、地域によって異なる名称で呼ばれています。一般的には「市町村役場」と訳されます。

この自治体政府は、首長（alcalde）、助役（teniente de alcalde）、そして議員（concejal）から構成される本会議（pleno）によって運営されます。首長と助役は本会議で選出され、議員は4年ごとに名簿式普通選挙で選ばれます。本会議は少なくとも3ヶ月に1回、公開で開かれます。

さらに、人口5,000人以上のムニシピオには、首長が任命した委員からなる運営委員会（comisión de gobierno）の設置が義務付けられています。この運営委員会は、本会議と首長を繋ぐ役割を果たし、首長を補佐します。ただし、運営委員会は議員の3分の1以上を含めることができません。

ムニシピオの自治権

ムニシピオは、自治権に関する様々な法令によって、地域業務において高度な自治権を有しています。郡や県の多くの機能が、実際にはムニシピオの権限として行われています。ムニシピオと自治州政府との関係は、これらの法令の中に明記されています。

人口規模と議席数

ムニシピオの議会における議席数は、人口規模によって異なります。人口10万人以上のムニシピオでは、10万人ごとに1議席が増え、さらにその数が偶数であればさらに1議席が加算されます。例えば、人口約162万人のバルセロナ市の場合、基本となる25議席に、人口超過分による16議席を加えた41議席となります。

参考文献

スペインの国土政策事情（国土交通省）
スペインの地方自治（自治体国際化協会）

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