アスコット・タイ

アスコット・タイは、フロックコートやモーニングコートといった昼間の男性の第一礼装に用いられる、幅広のセミバタフライ型のネクタイです。格式高い装いに用いられるアイテムで、その特徴や歴史、着用方法について解説します。

素材と特徴

伝統的には、スピットルフィールドと呼ばれる厚手の紋織絹が用いられます。光沢があり、上品な質感が特徴です。無地のものもありますが、織り柄が入ったものが一般的です。アスコット・タイは自分で結ぶタイプが主流ですが、あらかじめ結ばれたものも存在します。着用時には、パール状のネクタイピンを添えるのが正式なスタイルです。

名称の由来と歴史

アスコット・タイの名称は、19世紀のイギリスに由来します。アスコット競馬場に集まる上流階級の人々が、モーニングコートやフロックコートに合わせるタイとして着用したことが始まりです。競技場の名前にちなんで、「アスコット・タイ」と呼ばれるようになりました。

日本へは明治時代に伝来しましたが、当時は結び方が複雑で、結ぶのに時間がかかるため、予め結んで首の後ろで留めるタイプのものが考案されました。開いた形が漢字の「又」に似ていることから、「又の字」とも呼ばれました。このタイプのものは1920年代に世界中に広まり、フックで留めるタイプのタイの先駆けとなりました。

スカーフ状のアスコット・タイについて

スカーフ状に結ぶタイプのものも「アスコット・タイ」と呼ばれることがありますが、これは正式には「アスコット・スカーフ」または「パフタイ」と呼ばれます。アスコット・スカーフは略礼装であり、フォーマルな場には適していません。アスコット・タイとアスコット・スカーフは異なるアイテムとして区別する必要があります。

制服としての使用

日本ではスカーフとして認識されることが多いですが、ボーイスカウトや軍隊などで採用されているものは、海外ではアスコット・タイと呼ばれることがあります。

関連事項

ネクタイ
礼装
アスコット競馬場
ボウ
フロックコート
モーニングコート
ワイシャツ
ネクタイピン

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