アステカ暦

アステカ暦（メシカ暦）

アステカ暦、またはメシカ暦は、中央メキシコのアステカ人が使用していた暦です。メソアメリカの他の文明と同様、古代メソポタミア文明から続く暦の基本構造を共有しています。アステカ暦は、日常生活と宗教儀式において重要な役割を果たしていました。

二つの主要な暦

アステカ人は主に2つの暦を使用していました。

1. シウポワリ (Xiuhpohualli)：
365日周期を持つ太陽暦で、農業カレンダーとして使われていました。
年は18ヶ月で構成され、各月は20日間でした。残りの5日間は「無名の日」とされ、不運な日と考えられていました。

2. トナルポワリ (Tonalpohualli)：
260日周期を持つ神聖暦で、宗教儀式や占いに使われていました。
13の数字と20の記号の組み合わせで日を表し、毎日数字と記号が進んでいきます。
20の記号は、それぞれ4つの基本方向と関連付けられています。

これらの2つの暦が組み合わさることで、52年周期の「カレンダー・ラウンド」が形成されました。この周期が満了すると、新しいサイクルが始まると考えられていました。

トナルポワリの詳細

トナルポワリは、13の数字と20の記号の組み合わせで構成される260日周期の暦です。各日は、1から13の数字と、ワニ、風、家、トカゲなどの20の記号のうちの一つが組み合わさって表されます。

日の進み方：
例えば、「1 ワニ」の日の次は「2 風」の日、その次は「3 家」の日と進みます。
13まで進むと、次は1に戻り、20の記号も順番に進みます。例えば、「13 葦」の次は「1 ジャガー」となります。
このサイクルは260日（13 x 20）で、1ワニに戻り、再開します。

記号：
各記号には、特定の意味や象徴的な関連性があります。例えば、風はエエカトル神、雨はトラロック神に関連付けられています。
これらの記号は、ミシュテカ暦や他のメソアメリカの暦にも類似しています。

トレセーナ

トナルポワリの260日は、13日間の「週」であるトレセーナに分割されています。各トレセーナは、最初の日の暦日に従って命名され、それぞれ独自の守護神が割り当てられていました。

トレセーナの構造：
各トレセーナは13日間で構成され、260日の周期全体で20のトレセーナが存在します。
トレセーナの名称は、最初の日の暦に由来します。

シウポワリの詳細

シウポワリは、365日周期の太陽暦で、農業カレンダーとして使用されていました。この暦は、18ヶ月の各20日間と、5日間の「無名の日」で構成されていました。

月の構造：
1年は18ヶ月に分割され、各月は20日間です。
各20日間の期間は、ワニの記号で始まり、祭祀が行われました。

無名の日：
残りの5日間は「無名の日」とされ、不運な日として恐れられていました。
これらの日の正確な名称や祭祀は不明です。

各月の名称

| 月 | ディエゴ・ドゥラン | ベルナルディーノ・デ・サアグン |
|---|----|------|
| 1 | アトラカウアロ | アトラコアロ |
| 2 | トラカシペウアリ | トラカシペウアリ |
| 3 | トソントリ | トソントリ |
| 4 | ウエイトソストリ | ウエイトソストリ |
| 5 | トシュカトル | トシュカトル |
| 6 | エツァルコアトリ | エツァルコアトリ |
| 7 | テクイルウイトントリ | テクイルウイトントリ |
| 8 | ウエイテクイルウイトリ | ウエイテクイルウイトリ |
| 9 | ミカイルフイトル | ミカイルフイトル |
| 10 | ウエイミカイルフイトル | ウエイミカイルフイトル |
| 11 | オチパニス | オチパニス |
| 12 | テオトルコ | テオトルコ |
| 13 | テペイルウィトリ | テペイルウィトリ |
| 14 | ウエイトペイルウイトル | ウエイトペイルウイトル |
| 15 | ケチョリ | ケチョリ |
| 16 | パンケツァリストリ | パンケツァリストリ |
| 17 | アテモストリ | アテモストリ |
| 18 | ティトリ | ティトリ |

暦の再構築

学者たちは、アステカ暦を再構築するために長年努力してきました。ファエル・テナ教授の研究によると、アステカ暦の新年は、旧ユリウス暦の2月13日、または現行のグレゴリオ暦の2月23日に相当するとされています。この研究により、当時の暦を現代の暦に換算することが可能になりました。

アステカ暦は、単なる時間の測定ツールではなく、彼らの世界観、宗教観、そして日常生活と深く結びついた重要な要素でした。

もう一度検索