シウポワリ

シウポワリ：アステカの太陽暦

シウポワリ（ナワトル語: Xiuhpohualli）は、アステカ文明において用いられた、太陽年に近い365日の周期を持つ暦です。この暦は、18の「月」と、名前を持たない5日の期間から構成されています。シウポワリは、メソアメリカ地域で広く用いられていた暦体系の一つであり、マヤ文明のハアブ暦と基本構造を共有しています。

暦の構成

シウポワリは、365日を1年として数え、この1年はナワトル語で「シウィトル(xihuitl)」と呼ばれます。シウポワリとは、このシウィトルを数えることを意味します。暦の基本構造は、20日を1単位とする「月」が18か月と、余日である5日間（ネモンテミ）で構成されます。この余日の期間は凶日とみなされ、特に注意が必要な期間でした。各「月」はメツトリ(mētztli)と呼ばれ、これは天体の月と同じ言葉です。スペイン語では、20日ごとのまとまりを指す「ベインテナ(veintena)」とも呼ばれます。

暦と季節のずれ

興味深いことに、アステカの人々は実際の太陽日が365日よりも少し長いことを知っていましたが、シウポワリには閏日の概念がありませんでした。そのため、暦と季節の間にずれが生じましたが、どのようにこのずれを調整していたのかは、現代では正確にはわかっていません。この点は、アステカ暦の解明において、今後の研究が待たれる分野です。

実用と祭祀

シウポワリは、日常生活だけでなく、宗教的な祭祀にも用いられました。各月には特定の儀式が割り当てられており、人々の生活と信仰が密接に結びついていました。また、20日を4分割した5日ごとの周期は、現代の週と同様に、生活のリズムを形成する単位として機能しました。

トナルポワリとの関係

シウポワリは、260日周期のトナルポワリと並んで、アステカ暦の重要な要素でした。しかし、吉凶を占う上での重要度は、トナルポワリの方が高いとされていました。特に、シウポワリにおける名前のない5日間は、非常に危険な期間と考えられ、この期間に生まれた子供は不運だと見なされることもありました。

月の名前

シウポワリの18の各月には固有の名前が付けられていましたが、その名前と西洋暦の月との対応は資料によって異なり、確定的な解釈は難しいとされています。ベルナルディーノ・デ・サアグンは、16世紀の資料の中で、各月とユリウス暦との対応を以下のように示しています。

(具体的な月名と対応については、参考文献を参照してください。)

まとめ

シウポワリは、アステカ文明における時間認識と社会生活を深く理解するための鍵となる暦です。その構造は、天文学的な知識と宗教的な信念が融合した、複雑かつ洗練されたシステムを反映しています。シウポワリの研究は、アステカ文明の文化、歴史、そして思想をより深く理解するための重要な手がかりとなります。

参考文献

Broda, Johanna (2001). “Festivals and Festival Cycles”. The Oxford Encyclopedia of Mesoamerican Cultures. 1. Oxford University Press. pp. 406-409. ISBN 0195108159
Justeson, John S.; Kaufman, Terrence (2001). “Year Cycle”. The Oxford Encyclopedia of Mesoamerican Cultures. 3. Oxford University Press. pp. 364-365. ISBN 0195108159
Miller, Mary; Taube, Karl (1993). The Gods and Symbols of Ancient Mexico and the Maya: An Illustrated Dictionary of Mesoamerican Religion. Thames & Hudson. ISBN 0500050686（日本語訳：『図説マヤ・アステカ神話宗教事典』東洋書林、2000年）
Smith, Michael E. (1996). The Aztecs. Blackwell. ISBN 1557864969

関連項目

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