アストラル旅行

アストラル旅行とは

アストラル旅行（アストラルりょこう、英: Astral traveling）は、西洋オカルティズムにおける技法の一つで、意識をアストラル界と呼ばれる領域に移行させ、あたかも自分がその世界に存在するかのように体験することを指します。黄金の夜明け団では、「霊的ヴィジョンの旅」（英: Traveling in the Spirit-Vision）または「アストラル投射」（英: Astral projection）とも呼ばれていました。

アストラル旅行の実践者は、この技法が危険を伴う可能性や、精神的な不安定さをもたらす可能性があると考えています。関連する概念として、アストラル体やアストラル界、グラマーなどが挙げられます。

アストラル界という概念

「アストラル（astral）」という言葉は、ギリシア語の「星（ἀστήρ）」やラテン語の「星辰（astrum）」に由来し、「星の領域」という意味を持ちます。

アストラル旅行と関連技法

アストラル旅行は、幻視の技法であるスクライング（skrying）や霊視（clairvoyance）の発展形とみなされ、意識的に見る首尾一貫した白昼夢とも言えます。スクライングでは平面的なヴィジョンを観察するのに対し、アストラル投射ではヴィジョンが立体的になり、自分がその場にいるように感じられます。

黄金の夜明け団では、アストラル的幻視を得るための技法として、タットワヴィジョンが用いられていました。これは、インドの五元素に由来するシンボル（地、水、火、風、霊を象徴する図形）を用いてアストラル界への扉を開き、幻視を得るというものです。

タットワヴィジョン

タットワのシンボルは以下の通りです。

地：黄色の正方形（プリティヴィまたはプリトヴィ）
水：銀色の三日月形（アパス）
火：赤色の正三角形（テジャス）
風：青色の円（ヴァーユ）
* 霊：藍色の卵形（アーカーシャ）

実践者はこれらの図形を描いたカードを作成し、想像力を用いてシンボルのイメージを拡大し、その向こう側に身を投じることで、アストラル的な幻視を体験します。熟達した魔術師は、タロットの大アルカナやグリモワールにみられる諸霊のシジル、エノク魔術のタブレットなども利用しました。

光体の育成

アレイスター・クロウリーは、意識の地平を拡張しアストラル界を探索するために、「光体」（英: Body of Light）という第二の身体を育成することを提唱しました。その訓練方法は、自分の姿の思念像を形成し、そのイメージの身体に意識を乗り移らせ、想像上の身体の眼と耳で見聞きしながら動きまわるというものです。

パスワーキング

パスワーキング（Pathworking）は、誘導瞑想とも呼ばれ、創造的想像力による瞑想の一種です。基本的には、読み上げられるシナリオの導きに従ってヴィジョンの世界を構築していく作業であり、生命の樹の小径を体験したり、神殿を構築したりといったことが行われます。

黄金の夜明け団の理論では、個を包み込むアストラル的オーラを「感覚圏」（英: Sphere of sensation）と呼び、これを万象を映し出す鏡と捉えます。ブロディー・イネスは、感覚圏に映し出された万象を知覚できれば過去現在未来のすべてを知ることになると仮定し、タットワによる霊的ヴィジョンの旅は感覚圏上の映像を脳が知覚する能力によるものではないかと考察しました。

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