アストンマーティン・DB4GTザガート

アストンマーティン DB4GTザガート：稀代のスポーツカー

アストンマーティン・ラゴンダ社は、1960年から1963年にかけて、スポーツカーの傑作DB4GTをさらに進化させたモデル、DB4GTザガートを製造しました。その数はわずか19台という、まさに希少性の高い一台です。

DB4GTザガートは、通常のDB4GTのシャシーに、イタリアのカロッツェリア・ザガート社が製作した軽量なボディを架装することで誕生しました。この美しいボディデザインは、当時ザガート社のデザイナーであったエルコーレ・スパーダ氏の手によるものです。スパーダ氏のデザインセンスが光る、流麗かつ力強いフォルムは、多くの自動車愛好家を魅了し続けています。

心臓部には、DB4GTに搭載された3,670ccの水冷直列6気筒ツインプラグDOHCエンジンをベースに、圧縮比を高めた高性能エンジンを搭載。ウェーバー製45DCOEダブルチョークキャブレター3基によって、314bhpもの最高出力を実現しています。このパワフルなエンジンと、軽量なボディがもたらす、圧倒的な加速性能とハンドリングは、当時のスポーツカーの中でもトップクラスでした。

ザガートのボディは、DB4GTよりもさらに軽量化されており、車両重量は1,159kgに抑えられています。さらに、これよりも軽量化されたバージョンが4台製作されたという記録も存在します。この徹底的な軽量化が、DB4GTザガートの優れた運動性能に大きく貢献しています。

日本においても、DB4GTザガートは特別な存在感を持ちます。著名な自動車評論家である小林彰太郎氏が、かつてシャシーナンバー0200/Rを所有していたことが知られています。小林氏が所有していたという事実は、この車の歴史における重要なエピソードの一つと言えるでしょう。

また、興味深い点として、1991年には未使用のDB4GT用シャーシーを使用して、アストンマーティン・ラゴンダ社の公認のもと、4台のDB4GTザガートが「サンクションII」として追加製造されました。これにより、DB4GTザガートの総生産台数は23台となりましたが、それでもなお、このモデルの希少性は揺るぎないものです。

DB4GTザガートは、その稀少性、美しいデザイン、そして卓越した性能によって、多くのコレクターから高く評価されています。まさに、伝説的なスポーツカーと呼ぶにふさわしい一台と言えるでしょう。現在では、数億円という高額で取引されることも珍しくありません。

アストンマーティンDB4GTザガートは、単なる自動車ではなく、時代を超えて愛される芸術作品であり、自動車史に燦然と輝く、永遠のマスターピースと言えるでしょう。その歴史と技術、そして美しさは、これからも人々を魅了し続けることでしょう。

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