アストンマーティン・DB5

アストンマーティン・DB5

アストンマーティン・DB5は、1963年7月から1965年9月にかけて製造されたスポーツカーです。この車両は、アストンマーティンのDB4モデルの後継として登場し、当時の高級車の中でも特に人気を博しました。外観デザインはDB4に非常に似ていますが、装備の充実に伴い車重は116kg増加し、1,470kgに達しました。

仕様と製造

DB5の製造台数は1,023台にのぼり、その内訳には特別仕様の高性能版ヴァンテージが含まれています。このヴァンテージ仕様は1964年秋から提供され、高出力が評価されましたが、製造されたのはわずか65台でした。また、ドロップヘッドクーペバージョンは123台が製造され、ハロルド・ラドフォードによるシューティングブレーク改造も12台行われました。DB5は約2年の間に製造が行われ、その後のモデルであるDB6へと引き継がれました。

映画と文化への影響

DB5は特に映画『007』シリーズにおいて、ボンドカーとしての地位を確立しました。最初は『ゴールドフィンガー』と『サンダーボール作戦』に登場し、様々なギミックを備えた改造車としてフィルムに登場しました。このことによりDB5は、ボンドカーの象徴的な存在となったのです。また、171作目の『ゴールデンアイ』でも再登場し、その後の映画シリーズでもしばしばボンドの愛車として利用されています。

さらに、ロジャー・ムーアが主演した『キャノンボール』でも、DB5がパロディとして登場し、その魅力を再確認させました。テレビドラマ『スパイ大作戦』第1シリーズのエピソード「武器弾薬を渡すな Odds on Evil」では、逃走用車両として左ハンドル仕様の赤いDB5がフィーチャーされ、今なお多くのファンの記憶に残っています。

技術的な特徴

DB5は、DB4系のエンジンを用いながらも、シリンダー内径が4mm拡大され、全軽合金製の水冷直列6気筒DOHCエンジンを搭載しています。標準仕様では282hpを発生し、高性能版のヴァンテージでは324hpを叩き出します。トランスミッションは最初、デヴィッド・ブラウン製の4速MTが標準で、その後ZF製の5速MTが主流となり、オプションとしてボルグワーナー製の3速ATも選ばれるようになりました。

DB5はその洗練されたデザイン、高性能、そして映画における存在感により、アストンマーティンのアイコンとしての地位を確保しています。今後も多くのファンに愛され続けることでしょう。

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