シューティングブレーク

シューティングブレークとは

シューティングブレーク（Shooting brake）は、特有のボディスタイルを持つ乗用車の一種として、時代に応じてその意味が変化してきました。最初は19世紀から20世紀初頭にかけて、英国において狩猟用のオープン馬車を指す言葉として使われていました。このスタイルは、現在ではスポーツクーペの特性を持ちながら流線型のステーションワゴンを指す語へと進化しました。

歴史的背景

元々、「ブレーク」という用語は、19世紀に若馬の調教に用いられたボディのないキャリッジを指しました。このキャリッジは、後部に取り外し可能なシートを取り付けることで乗客を運ぶことも可能でした。シューティングブレークはこのブレークに狩猟用の特別な座席を追加し、猟犬や猟銃、獲物を運ぶのに適した形に改良されたものです。特に、ベンチのような座席や対面式の座席が特徴的で、初期の自動車のデザインにも影響を与えました。

1910年代以降、コーチビルダーたちが木製のボディを持つ車両を生産し始め、その中にはロールス・ロイスやベントレーのシャシーを使用したシューティングブレークも含まれました。1930年代には、「エステートカー」という言葉が生まれ、シューティングブレークは多用途な車両を象徴するようになっていきました。さらに、2006年版のChambers社の辞書では、シューティングブレークはステーションワゴンとエステートの古風な呼び名とされているほどです。

現代のシューティングブレーク

現代のシューティングブレークは、クーペとステーションワゴンの特徴を融合させたデザインが一般的です。特に流麗な2ドアや、通常のステーションワゴンよりも短い後ろのオーバーハングを持つ4ドア型が多く見られます。こうしたスタイルは1960年代から見られ、限られた数の特別モデルとして生産されました。

1965年から1967年には、アストンマーティンのコーチビルダーが改造したシューティングブレークが登場し、その後は自社での販売へとつながっていきます。また、シューティングブレークという名称は、過去に販売されていた他の車両には使われたことがなくとも、現在ではさまざまなブランドによる製品がこのスタイルを取り入れています。

近年、シューティングブレークとして正式に販売されている例としては、フェラーリ・GTC4ルッソやメルセデス・ベンツ・CLA、CLSシューティングブレーク、ポルシェ・パナメーラスポーツツーリズモ、ジェネシス・G70シューティングブレーク、フォルクスワーゲン・アルテオンシューティングブレークなどが挙げられます。これに加えて、BMWのMクーペやZ3クーペ、ダッジ・マグナム、ジャガー・Sタイプエステートなどもシューティングブレークスタイルとの関連性が指摘されています。

日本市場においては、シューティングブレークと公式に名乗った車両は存在しませんが、その形状や構造が類似するモデルが多数存在しています。例としてトヨタ・カローラリフトバックや日産・エクサキャノピー、ホンダ・アコードエアロデッキなどがあり、それぞれシューティングブレークに近いスタイルを持った車として認識されています。コンセプトカーの世界でもシューティングブレークを名乗るモデルは多く存在し、2004年のシボレー・ノマドコンセプトや、2005年のアウディ・シューティングブレークコンセプトなどが例として挙げられます。

シューティングブレークは、時代とともに変遷を遂げながらも、独特な魅力を持つ車両形状として多くのファンに愛されています。

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