アゼルバイジャンの気候

アゼルバイジャンの気候は、その多様性において特筆に値します。この国は、亜熱帯地域の中でも最北部に位置し、コーカサス山脈の南東部、イラン高原の南西部にまたがっています。この地理的な複雑さに加え、カスピ海に近接していること、そして太陽光の照射や様々な気団の影響を受けることが、アゼルバイジャンの気候を非常に多様なものにしています。

地形の影響

アゼルバイジャンの地形は、山がちなことが特徴です。大コーカサス山脈、小コーカサス山脈、タリシュ山脈といった山脈が連なり、北部イランの山々にも囲まれています。東部には、大コーカサス山脈と小コーカサス山脈の間に、カスピ海にまで続くクラ＝アラクス低地が広がっています。特に、北西から南東にかけて延びる大コーカサス山脈は、アゼルバイジャンが北からの寒気の影響を直接受けないように保護しており、山麓や平原地帯の大部分が亜熱帯気候となっています。他の山脈も気団の動きに影響を与え、その結果、細かく区分された気候帯が地図上に見られるほどです。

日照時間

アゼルバイジャンの山麓や平原地帯は、太陽放射照度が高く、クラ＝アラクス低地やアブシェロン半島では、年間日照時間が2,200時間から2,400時間にも達します。特に、ナヒチェヴァン地域のアラス川流域では、2,600時間から2,800時間という非常に長い日照時間が観測されます。一方、山岳地帯では、曇天の日が多く、年間日照時間は1,900時間から2,200時間程度に留まります。しかし、標高3,000メートル以上の高地では、日照時間が再び増加し、2,200時間から2,500時間になることもあります。

アゼルバイジャンの日照エネルギーは、平均して128から132kcal/cm²（118から122kWh/ft²）です。標高が500-600メートルに上がると、日照エネルギーは120から124kcal/cm²に減少しますが、それ以上の高度になると再び増加し、大コーカサス山脈や小コーカサス山脈の標高3,000メートル以上の地域では、140から150kcal/cm²に達します。ナヒチェヴァン地域のアラス川流域では148から150kcal/cm²、ナヒチェヴァン地域の山岳地帯では152から160kcal/cm²にもなります。

気団の動き

アゼルバイジャンの気候は、温帯のシベリア高気圧、北極圏の寒気団、中央アジアの高気圧、熱帯の低気圧など、多様な気団の影響を受けますが、周辺の山脈によって、これらの気団の影響は地域によって異なります。

気温

気温は、気団、地形、そしてカスピ海への近さによって左右されます。海岸地域（海岸から20km以内）は、カスピ海の影響により、夏は内陸部よりも気温が低く、冬は逆に高くなります。また、カスピ海は中央アジアからの高温で乾燥した気団の影響を和らげる役割も果たします。クラ＝アラクス低地、アブシェロン半島の南に位置する海岸地域、ランカラン低地の年間平均気温は14-15℃ですが、山岳地帯に近づくほど気温は低下し、標高2,000メートルでは平均4-5℃、標高3,000メートルでは平均1-2℃になります。国内で観測された最低気温は-33℃、最高気温は46℃で、いずれもナヒチェヴァン地域のジュルファ県とオルドゥバド県で記録されています。

降水量

アゼルバイジャンで最も降水量が多い地域はレンキャランで、年間1,600-1,800ミリメートルです。一方、最も降水量が少ないのはアブシェロン半島で、年間200-350ミリメートルです。

気候区分

アゼルバイジャンの地域ごとの天気、気温、湿度、降水量に基づいて分類すると、ケッペンの気候区分で11種類中9種類の気候区分が見られます。この多様性は、アゼルバイジャンの気候が非常に複雑であることを示しています。

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