アソコン

『アソコン』

概要

『アソコン』は、辰巳出版から1985年から1988年にかけて刊行されたコンピューターゲーム専門誌です。単に新作ゲームを紹介するだけでなく、特に黎明期にあたる時代背景の中で、アダルトゲームという当時の新分野に積極的に光を当てたことで知られています。本項目では、『アソコン』の解説に加え、同社から同時期に発行されていた姉妹誌『アソコンすぺしゃる』についても合わせて説明します。

誌名の「アソコン」は、「遊ぶコンピュータ」に由来すると公式にはされています。しかし、「アダルト」や「アドベンチャー」の頭文字である『ア』と、当時の一般的な呼称である「パソコン」の『ソコン』を組み合わせたような語感も持ち合わせており、その内容を示唆しているかのようでした。この雑誌のもう一つの特徴として、ほぼすべての号で個別のサブタイトルが付与され、読者に毎回新しい印象を与えようとする工夫が見られました。

歴史と内容

『アソコン』が創刊された1985年当時、現在のように多くのアダルトゲームタイトルが出回っている状況ではありませんでした。そうした時代背景の中で、創刊号がほぼアダルトゲームの情報のみで構成されたことは、非常に異色の、そして画期的な試みでした。

続く第2号では、一転して非アダルト系、特にアドベンチャーゲームの紹介が増加しましたが、第3号からは再びアダルト関連情報が重視される傾向に戻り、袋とじのページが定番化しました。この袋とじのコーナーでは、『ムフフ画像』と称されるアダルトゲームのスクリーンショットを用いた紹介や、市販されているゲームのプログラムリストといった、当時の読者にとって刺激的かつ実用的な内容が掲載されました。

刊行ペースは当初は不定期でしたが、1987年からは準隔月刊となりました。しかし、残念ながらその活動は長く続かず、1988年に刊行された第14号をもって休刊となりました。

後継誌と姉妹誌

『アソコン』の休刊と同年の1988年3月25日には、実質的な後継誌として『美少女ゲーム最前線』が創刊されました。この『美少女ゲーム最前線』は、初期のアダルトゲーム専門誌として大きな影響力を持った雑誌として知られています。興味深いことに、『美少女ゲーム最前線』という誌名は、『アソコン』の第7号以降の袋とじ部分に副題として使われていた名称でもあり、両誌の密接な繋がりを示しています。実際、『美少女ゲーム最前線』の創刊号には『アソコンすうぱぁスペシャル』という副題も冠されていました。

また、『アソコン』が刊行されていたのとほぼ同じ時期に、辰巳出版からは『アソコンすぺしゃる』という別のパソコンゲーム雑誌も発行されていました。両誌は姉妹誌のような関係にあり、取り扱うゲームの傾向や誌面構成は非常によく似ていました。

このように、『アソコン』は短い刊行期間ながら、アダルトゲームという当時のニッチな分野に早期から着目し、後の専門誌へと繋がる重要な役割を果たした雑誌と言えます。

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