アソールト

アソールト：足に障害を抱えながらも輝き続けた伝説の名馬

アソールトは、1946年のアメリカクラシック三冠を達成した、アメリカ合衆国を代表する競走馬です。その名は英語で「襲撃」を意味し、その走りからも想像できるほどの圧倒的な強さを誇りました。しかし、アソールトの物語は、単なる勝利の記録以上に、感動と勇気を与えてくれるドラマチックなものです。

生まれつき抱えたハンデと、それを超えた活躍

幼い頃、アソールトは杭を踏むという事故に遭い、右足に深刻な損傷を負いました。安楽死の危機を免れましたが、足は変形し、生涯を通じて引きずることになりました。そのため、「びっこ」「足曲がり」というあだ名で呼ばれることもありました。しかし、このハンデをものともせず、アソールトは驚異的な活躍を見せます。

1946年、彼はアメリカ競馬界の最高峰、三冠レース（ケンタッキーダービー、プリークネスステークス、ベルモントステークス）を制覇するという偉業を達成。その輝かしい活躍から、人々は彼を「Club-footed Comet（足曲がりの彗星）」と呼び、賞賛しました。足元のハンデを克服した彼の驚異的な勝利は、多くの人々に感動を与え、希望の象徴となりました。

種牡馬としては、残念ながらほとんど産駒を残すことができず、事実上の不妊でした。僅か2頭のクォーターホースを残したのみですが、母方を通じてその血統は現代まで受け継がれています。1971年9月1日、生まれ故郷のキング・ランチで28歳でその生涯を終えました。彼の功績は、1971年のアメリカ競馬殿堂入り、そしてブラッド・ホース誌による20世紀のアメリカ名馬100選への選出（33位）という形で、後世に語り継がれています。

華々しい戦績：三冠達成への道とその後

2歳でデビューしたアソールトは、初戦で12着という衝撃的な敗戦を経験します。その後も苦戦が続き、9戦2勝という成績で初年度を終えました。しかし、翌年、彼の才能が開花します。

フリーハンデキャップでの勝利を皮切りに、ウッドメモリアルステークスも制覇。ケンタッキーダービーでは、前走で4着と敗れていたこともあり、4番人気という下馬評を覆し、先行策から直線で抜け出し、8馬身差という圧勝劇を演じました。続くプリークネスステークスも制し、ベルモントステークスではスタートでつまずくアクシデントがありながらも3馬身差で勝利、アメリカ競馬史上7頭目の三冠馬となりました。

三冠達成後も、ピムリコスペシャルステークス、ウェストチェスターハンデキャップなど、数々の重賞レースを制覇し、1946年の年度代表馬に選出されるなど、その活躍は目覚ましいものがありました。翌年も5連勝と好調を維持しましたが、アームドとのマッチレースで故障し、その後は出走機会が減っていきました。7歳でハリウッドゴールドカップ7着を最後に引退しました。

血統と影響

アソールトの曽祖母Masdaの全弟は、伝説的名馬Man o' Warです。また、彼の甥にあたるProve Outは、1973年のジョッキークラブゴールドカップとウッドワードステークスを制覇し、ウッドワードステークスではSecretariatを相手に勝利を収めるなど、アソールトの血統は、その後も競馬界に大きな影響を与え続けました。

アソールトは、足元のハンデを乗り越え、アメリカ競馬史にその名を刻んだ、まさに伝説の名馬と言えるでしょう。彼の物語は、困難に立ち向かう勇気と、夢を諦めないことの大切さを教えてくれます。

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