アタカ国民連合

アタカ国民連合：ブルガリアの極右民族主義政党

アタカ国民連合（Ataka）は、ブルガリアにおける極右政党連合である。ブルガリア民族主義を掲げ、反EU、反米、反移民といった強硬な姿勢で知られる。2005年の議会選挙を前に、「救国国民運動」、「ブルガリア国民愛国党」、「愛国軍と予備軍連合 - 防衛」の3政党が連合を結成した。

党のイデオロギーと主張

アタカの指導者、ヴォレン・シデロフは極右レイシストとして広く認識されている。同党は、ブルガリアの少数民族が過剰な特権を与えられていると主張し、ブルガリアの政治機構全体を腐敗していると非難する。NATO、イラク戦争、アメリカ合衆国との連携に反対し、EU加盟そのものには明確に反対していないものの、EUとの過去の合意の多くを見直すことを強く求める。例えば、ドナウ川沿いのコズロドゥイ原子力発電所の閉鎖合意の破棄などを主張している。

アタカの綱領文書である「20の原則」と「綱領案」には、強い民族主義的な傾向が見られる。ブルガリアを単一民族国家と規定し、民族的・宗教的多様性に対しては、ブルガリア民族の優越性を主張する。ブルガリア正教会を国教とし、立法や政府の主要な決定に教会が関与すること、小学校での教会による教義教育などを主張している。また、「国家背信」の罪を規定し、「国家反逆」者への刑事訴訟を目標に掲げ、現代のブルガリアの政治家、人権団体、少数民族活動家らを「国家背信者」とみなしている。さらに、「ブルガリア国家の象徴」に対する中傷やブルガリアへの侮辱を処罰することを掲げている。

アタカは、ブルガリア国内で「極右」または「極左」と見なされることが多い。反体制、反西欧的な主張は左翼とみなされる面がある一方、私企業の再国有化などを主張することから極左と見なされることもある。しかし、党自身は「右翼でも左翼でもなく、ブルガリア人である」と主張している。

批判とスキャンダル

アタカは、外国人嫌悪、反EU、ファシズム的傾向があると多くのメディアから批判されている。支持者からは「愛国主義」と主張される一方で、党員による過激な発言が繰り返し問題となり、国内外で非難されている。

特に、シデロフの継子である欧州議会のオブザーバー、ディミタル・ストヤノフが欧州議会議員全員に送った電子メールは物議を醸した。このメールはロマ（ジプシー）女性を侮辱する内容であり、ハンガリーのロマ女性政治家リーヴィア・ヤーローカへの言及が含まれていた。ストヤノフは、ロマ女性の家畜のような売買の実態を強調しようとしたと主張しているものの、強い批判を浴びている。

また、シデロフはトラキア高速道路の多重事故に関して身代わりを立て、偽証罪で告発される事件も発生している。

選挙結果と動向

2006年3月の世論調査では、アタカはブルガリア社会党に次ぐ第2位を獲得した。同年3月には、ソフィアで1000人を超える支持者を集めた集会を開催し、トルコ系少数民族を中心とする権利と自由運動と連立与党を組むブルガリア政府を強く批判した。2006年10月の大統領選挙では第1回投票で2位となり決選投票に進出したものの敗北した。2017年の議会選挙には「愛国者連合」の一員として参加し、27議席を獲得した。2023年の議会選挙では「中立的なブルガリア」の一員として参加したものの、議席獲得には至らなかった。

まとめ

アタカ国民連合は、ブルガリアにおける極右民族主義勢力の代表的な存在である。強硬な反移民・反EU政策、そして指導者シデロフの過激な発言は、国内外から強い批判を浴びている。しかし、一定数の支持層を有しており、ブルガリアの政治状況において無視できない存在であることは間違いない。今後の動向に注目が必要である。

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