アタゴオル

『アタゴオル』の世界観

『アタゴオル』は、ますむらひろしが創造した独自の空想世界を舞台にした漫画シリーズであり、猫と人間が同じ言葉を話す奇妙な社会が描かれています。作品は1976年から始まり、主人公ヒデヨシというお騒がせな猫の冒険を中心に展開されます。ヒデヨシは傍若無人でありながら、彼の行動が逆説的には多くの人を助ける結果につながることもあります。彼はその独特の性格から、しばしば「トリックスター」として描かれ、物事の真実を浮き彫りにする役割を果たしています。

シリーズの概要

『アタゴオル』には様々なシリーズが存在し、各シリーズごとに異なるストーリーやキャラクターが登場します。累計600万部を超える売り上げを記録しており、ますむらの日常生活の一部として、大切に扱われている作品とも言えるでしょう。

• - アタゴオル物語（全6巻）: 1976年から1981年に「マンガ少年」で連載され、ヒデヨシの初期の姿や奇異な冒険が描かれています。ストーリーはやや実験的な試みを含んでいます。
• - アタゴオル玉手箱（全9巻）: 1984年から1989年にかけて雑誌「MOE」に掲載されたこのシリーズでは、ヒデヨシを中心にした拡張されたストーリーが展開され、特に絵柄やストーリーの完成度が高いと評判です。
• - アタゴオル（全2巻）: 1994年から1995年に「コミックバーガー」で連載されたが、途中で終了し、読者に説明がないまま幕を閉じました。
• - アタゴオルは猫の森（全18巻）: 1999年から2011年にかけて連載されたシリーズで、ヒデヨシから別のキャラクターであるギルバルスがキーマンとして登場し、異なった作風へと変化しました。

主なキャラクターたち

主なキャラクターとしては、ヒデヨシをはじめとし、テンプラやパンツなどの仲間がいます。ヒデヨシは太る猫で、自ら独自の文字を持ち、衝動的な性格が周囲に騒動を起こすことが多いですが、彼の行動の一部は逆に他者を救うなど興味深い結果をもたらします。

一方で、テンプラはヒデヨシの親友で、常に彼のしでかした問題の後始末を迫られる立場のキャラクターです。彼の穏やかな性格や音楽の才能は、アタゴオルの住人たちから信望を寄せられる要因となっており、様々な困難に立ち向かう一助ともなっています。

物語の舞台

物語が展開されるアタゴオルは、猫と人間の平等な生活が営まれる大森林で、様々な小さな森や不思議な生物が息づいています。かつての王朝の名残や遺跡も各所に散りばめられ、背景には多種多様な文化や伝説も存在します。

このように、ますむらひろしの『アタゴオル』は、猫の集団と人間との関わりを独特な表現で描く作品であり、幽玄でユーモラスな空間を作り出しています。ヒデヨシを中心としたキャラクターたちの日常は、喜怒哀楽を伴う冒険を通じて、読者にさまざまな感情をもたらし続けています。

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