アタック!! (イングヴェイ・マルムスティーンのアルバム)

『アタック!!』（Attack!!）は、ネオクラシカルメタルの巨匠、イングヴェイ・マルムスティーンが2002年に世に送り出した、通算14枚目となるスタジオ・アルバムです。この作品は「イングヴェイ・J・マルムスティーンズ・ライジング・フォース」名義でリリースされました。

アルバム発表当時、イングヴェイはオーケストラとの共演による歴史的なコンチェルト公演を成功させるなど、アーティストとしての表現の幅を大きく広げた時期にありました。そのような状況下で制作された本作は、新たな布陣のバンドメンバーと共に生み出された渾身の一作として、多くのファンから注目を集めました。日本盤の帯には、当時の彼の勢いやアルバムへの意気込みが伝わるフレーズが記されています。

収録曲には、イングヴェイならではの技巧的なプレイとクラシカルな要素が随所に散りばめられています。中でも特筆すべきは15曲目に収録されている「Air」で、これは著名な作曲家ヨハン・ゼバスティアン・バッハの傑作「G線上のアリア」を原曲とした楽曲です。イングヴェイは自身のルーツであるクラシック音楽への敬愛を、この作品でも示しています。

本作はリリースされた国・地域によって仕様が一部異なります。日本のリスナー向けに販売された初回盤には、特典としてトレーディングカードが封入され、ファンにとって嬉しいサプライズとなりました。一方、米国盤は日本盤とは内容が異なり、例えば日本盤に収録されている13曲目の「Touch The Sky」は米国盤には含まれていません。また、米国盤にはボーナストラックとしてライブ音源の「Dreaming」が追加されていますが、この楽曲のヴォーカルは、本作でメインヴォーカルを務めたドゥギー・ホワイトが担当しています。

このアルバムに参加した主要メンバーは以下の通りです。

イングヴェイ・J・マルムスティーン: ギタリストとして知られる彼ですが、この作品ではメイン楽器であるギターに加え、ベース、フレットレス・ベース、シンセサイザー・ギター、シタール、チェロ、キーボード、コーラス、そして10曲目ではヴォーカルも担当するなど、驚くほど多くの楽器や役割をこなしています。これは、彼が単なるギタリストに留まらない、多才なミュージシャンであることを改めて示しています。
ドゥギー・ホワイト: 10曲目を除く全ての楽曲でリード・ヴォーカルを担当し、力強い歌声でアルバムに彩りを加えています。
デレク・シェリニアン: キーボードを担当し、イングヴェイのクラシカルな要素を支える重要な役割を果たしています。
パトリック・ヨハンソン: ドラムを担当し、楽曲に安定感と推進力のあるリズムをもたらしています。

『アタック!!』は、新たなバンドメンバーと共に制作された、イングヴェイ・マルムスティーンのキャリアにおける一つの節目とも言える作品です。彼の卓越したギタープレイはもちろんのこと、クラシック音楽からの影響、そして多彩な楽器演奏といった彼の音楽性が凝縮されており、聴きどころの多い一枚と言えるでしょう。

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