アダム・ビナティエリ

アダム・ビナティエリ：伝説のクラッチキッカー

アダム・マシュー・ビナティエリ（Adam Matthew Vinatieri）は、1972年12月28日生まれ、アメリカ合衆国サウスダコタ州ヤンクトン出身の元アメリカンフットボール選手です。ポジションはプレースキッカー（K）で、ニューイングランド・ペイトリオッツとインディアナポリス・コルツで長きにわたり活躍しました。正確無比なキックから「オートマティック・アダム」や「アイスマン」といった異名を持ち、NFL史に残るクラッチキッカーとして知られています。

生い立ちとキャリア初期

5歳の時に家族でサウスダコタ州ラピッドシティへ移り、セントラル高校ではアメリカンフットボールの他に、レスリング、バスケットボール、サッカー、陸上競技にも取り組みました。サウスダコタ州立大学では、アメリカンフットボールのキッカーとして185得点という大学記録を打ち立てています。Prokicker.com キッキングキャンプの出身で、ドラフトコンバインには招待されませんでしたが、エリートコンバインに出場。その後、NFLヨーロッパのアムステルダム・アドミラルズでプロとしてのキャリアをスタートさせ、1996年にNFL入りを果たしました。

ニューイングランド・ペイトリオッツ時代

1996年から2005年までニューイングランド・ペイトリオッツで正キッカーを務め、チームのスーパーボウル3度制覇に大きく貢献しました。特に記憶に残るのは、極寒のブリザードの中で行われた2001年のオークランド・レイダース戦でしょう。第4クォーターに45ヤードのFGを成功させ、試合をオーバータイムに持ち込み、最後は自身のFGでチームを勝利に導きました。

また、第36回スーパーボウルでは、残り時間わずかで47ヤードのFGを決め、セントルイス・ラムズを破り、ペイトリオッツ初のスーパーボウル制覇を決定づけました。第38回スーパーボウルでも、前半にFG失敗やブロックがありながらも、残り4秒で41ヤードのFGを成功させ、カロライナ・パンサーズに勝利しました。

2004年のセントルイス・ラムズ戦では、フェイク・フィールドゴールからトロイ・ブラウンへの4ヤードのタッチダウンパスを成功させるなど、器用さも見せました。この年はFG33本中31本を成功させ、第39回スーパーボウルでも決勝FGを成功させています。

インディアナポリス・コルツ時代

2006年、フリーエージェントでインディアナポリス・コルツに移籍。シーズン序盤は怪我で欠場しましたが、プレーオフのボルチモア・レイブンズ戦ではプレーオフタイ記録となる5本のFGを決め、チームを勝利に導きました。そして、第41回スーパーボウル制覇に貢献し、自身4度目の優勝を経験しました。

2008年には、第9週のニューイングランド・ペイトリオッツ戦で、第4クォーターに53ヤードのFGを成功させ、古巣相手に勝利を収めました。2009年には右ひざを手術し、プレーオフでは代役のキッカーが起用され、チームは第44回スーパーボウルに進出しましたが、出番はありませんでした。2010年、第17週のテネシー・タイタンズ戦では、残り1分を切ってから、チームのAFC南地区優勝を決める43ヤードの決勝FGを成功させ、通算13回目の週間MVPスペシャルチーム部門に選ばれました。

2012年、第2週のニューオーリンズ・セインツ戦、第9週のマイアミ・ドルフィンズ戦でも決勝FGを成功させ、チームを勝利に導いています。

NFL記録と栄光

アダム・ビナティエリは、数々のNFL記録を保持しています。通算FG成功数（599回）、通算得点（2673点）、ポストシーズン通算FG成功数（56回）、ポストシーズン通算得点（238点）、ポストシーズン連続得点試合（24試合）など、その記録はまさにレジェンドと呼ぶにふさわしいものです。

プレースタイルと評価

プレッシャーのかかる場面でこそ力を発揮するクラッチキッカーとして、その精神力の強さが際立っていました。正確なキックと冷静な判断力で、数々の試合を勝利に導き、ファンから愛されました。

アダム・ビナティエリは、NFL史上に残る最高のプレースキッカーの一人として、その名が永遠に語り継がれるでしょう。

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