アダルベロ (ケルンテン公)

ケルンテン公アダルベロ・フォン・エッペンシュタイン

アダルベロ・フォン・エッペンシュタイン（980年頃 - 1039年11月29日）は、11世紀初頭にケルンテン公およびヴェローナ辺境伯として名を馳せた人物です。彼の生涯は、当時の神聖ローマ帝国の政治情勢と深く関わっています。

生い立ちと初期のキャリア

アダルベロは、バイエルン貴族のエッペンシュタイン家のマルクヴァルト3世とハトムートの息子として生まれました。父マルクヴァルトはシュタイアーマルク辺境伯でもあり、アダルベロは1000年頃にその地位を継承しました。また、彼はシュヴァーベン公ヘルマン2世の娘とされるベアトリクスと結婚し、後の皇帝コンラート2世の妃ギーゼラの姉妹と姻戚関係を結びました。

ケルンテン公への昇進

1011年、ケルンテン公コンラート1世が死去すると、ドイツ王ハインリヒ2世はアダルベロを後任のケルンテン公に任命しました。これにより、アダルベロはクライン辺境伯領、ヴィンディッシュ辺境伯、そして広大なヴェローナ辺境伯領を含む広大な領地を支配下に置きました。しかし、先代公の息子であるコンラート2世は、後にアダルベロのライバルとして台頭することになります。

ザーリアー朝との関係

1024年にハインリヒ2世が崩御し、ザーリアー朝のコンラート2世が国王に選出されると、アダルベロの立場は微妙に変化し始めました。当初、アダルベロはコンラート2世と良好な関係を保っているように見えましたが、1035年の宮廷議会において、彼は突如として地位と領地をすべて剥奪されるという事態に陥りました。

フライジング司教エギルベルトは、この決定に反対しましたが、及ばず、アダルベロはケルンテン公の地位を失いました。その後、ケルンテン公位は一時空位となります。

失脚後の行動と最期

公位を失ったアダルベロは、ザーリアー朝派の貴族への報復を開始し、聖ヘンマ・フォン・グルクの夫であるヴィルヘルム・フォン・フリーザッハを殺害しました。その後、彼はバイエルンのエーバースベルクにある母の領地に隠棲し、1039年にその地で生涯を閉じました。

子孫

アダルベロはベアトリクスとの間に、マルクヴァルト4世、アダルベロ（バンベルク司教）、ヴィリビルクをもうけました。長男のマルクヴァルト4世は、後にケルンテン公となるリウトルトとハインリヒ3世の父となり、エッペンシュタイン家の勢力を維持しました。

アダルベロ・フォン・エッペンシュタインの生涯は、当時の政治的な駆け引きや権力闘争を鮮やかに描き出しており、神聖ローマ帝国の歴史を理解する上で重要な人物の一人と言えるでしょう。

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