ザーリアー朝

ザーリアー朝：中世ドイツを支配した名家

ザーリアー朝は、中世ドイツにおいて1024年から1125年まで、ローマ王および神聖ローマ皇帝の地位を世襲した名門貴族の家系です。その起源は、フランク族のサリー族にまで遡ると考えられています。

ザーリアー家の起源と台頭

ザーリアー家のルーツは、カロリング朝帝国貴族にまで遡ることができると考えられていますが、確実な記録が残っているのは、ヴォルムスガウ、ナーエガウ、シュパイアーガウ伯ヴェルナー（5世）からとなります。彼は、東フランク王コンラート1世の娘ヒッカと結婚し、その息子であるコンラート（赤公）は、オットー1世（大帝）からロートリンゲン大公の地位を与えられました。しかし、オットー1世への反乱に加担したため、その地位を剥奪されています。その後、レヒフェルトの戦いで戦死しました。

コンラート（赤公）の息子、オットー1世は、ケルンテンを与えられましたが、後に奪われ、その後取り戻しています。彼は、皇帝オットー3世の死後、後継候補として名乗りを上げましたが、最終的には、ハインリヒ2世の息子ハインリヒ4世がドイツ王位を継承しました。オットー1世の子息の中で、ブルーノは教皇グレゴリウス5世となりました。

コンラート2世とザーリアー朝の確立

1024年、皇帝ハインリヒ2世の死後、オットー1世の孫であるコンラート2世が、ドイツ聖俗諸侯の満場一致でローマ王に選出されました。これがザーリアー朝の始まりです。コンラート2世は、皇帝として戴冠し、ザーリアー朝は、約100年に渡りドイツを支配しました。

ザーリアー朝の歴代皇帝

ザーリアー朝においてローマ王、そして神聖ローマ皇帝の座に就いたのは、以下の5名です。

コンラート2世 (在位: 1024-1039)：ザーリアー朝の初代皇帝。イタリア王国を征服し、帝国の権威を確立しました。
ハインリヒ3世 (在位: 1039-1056)：教会改革を行い、教皇の選出に介入するなど、強い権力を振るいました。
ハインリヒ4世 (在位: 1056-1106)：教皇グレゴリウス7世との権威闘争（叙任権闘争）で知られます。
コンラート (在位: 1087-1098)：ハインリヒ4世の子で、父との対立を経てイタリア王となりましたが、短命に終わりました。
* ハインリヒ5世 (在位: 1106-1125)：ザーリアー朝最後の皇帝。教皇との妥協を試みましたが、後継者を残さず没しました。

ザーリアー朝の終焉

1125年、ハインリヒ5世の死により、ザーリアー朝は断絶しました。ハインリヒ5世はシュタウフェン家のフリードリヒ2世を後継者として望んでいましたが、結局、シュタウフェン家は、ホーエンシュタウフェン朝としてその後に台頭しました。

系譜と未解明の部分

ザーリアー家の系譜は、コンラート（赤公）以前については、不明瞭な部分が多く残されています。今後の研究によって、さらに詳細な歴史が明らかになる可能性があります。

ザーリアー朝と関連する歴史的テーマ

ザーリアー朝の研究を通して、中世ドイツにおける王権と教会の関係、帝国の形成と発展、そして貴族社会の構造など、様々な歴史的テーマを考察することができます。その支配は、後のドイツの歴史に大きな影響を与えました。

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