アックス (雑誌)

『アックス』について

『アックス』(AX)は、青林工藝舎が1998年に創刊したオルタナティブ志向の隔月刊漫画雑誌です。かつて伝説的な漫画雑誌『月刊漫画ガロ』の流れを汲む雑誌として知られ、その特徴的な編集方針から特定の読者層に深い支持を受けています。2024年9月時点で通巻159号まで刊行され、編集長は青林工藝舎の社長でもある手塚能理子氏が務めています。

雑誌の特徴と編集方針

「国内唯一のオルタナティブ・コミック誌」と自認する『アックス』は、反主流的な内容や独自の手法を取り入れた作品を積極的に掲載しています。これにより漫画界における「アウトバーン」や「無法地帯」とも称される存在となりました。編集方針は自由な表現を重視しており、作品には方向性や制約を設けておらず、商業出版とは異なり、作家に自由な創作環境を提供しています。

前身である『月刊漫画ガロ』は1964年から2002年まで刊行されていましたが、青林堂と青林工藝舎の間での経営方針を巡る対立から、独自の道を歩むことになりました。『アックス』はその精神を受け継ぎ、特に埋もれた才能を発掘・育成することを使命とし、従来の枠にとらわれない独創的な作品を求めています。

作品の多様性とセレクション

掲載される作品は、エログロからシリアス、詩的な内容まで多岐にわたり、各漫画家の個性を生かしたスタイルが魅力です。「漫画の新しい可能性を求める」という編集方針は、創刊当初から一貫しており、100号まで使用されていたキャッチコピーには「MANGA要特立MANGA要解放MANGA要実験」と記されていました。このように、読者には斬新でマニアックな漫画体験を提供し続けています。

発行形態と流通

『アックス』は漫画雑誌であるものの、流通の扱いはアンソロジーコミックとして分類され、バックナンバーの購入は比較的容易です。発行部数は推定3000部とされ、多くは特定の書店や漫画専門店で販売されています。なお、毎年行われる『アックスマンガ新人賞』には約300点の作品が寄せられており、多くの新しい作家を輩出しています。

経営状況と原稿料

道義的な観点から言えば、『アックス』は経営難に直面し、ガロ時代からの「万年貧乏」とも表現される状況が続いています。そのため、原稿料は実質的に支払われていないものの、漫画家たちは支持者の強い後援に支えられています。雑誌掲載時には原稿料は支払われず、単行本の印税は分割払いで支払われる仕組みとなっています。

創刊の経緯と発展

『アックス』の創刊は青林堂の内部紛争に起因しています。1996年に創業者が亡くなり、経営方針を巡る対立が激化。その結果、青林堂の編集部が総辞職し、内部での派閥争いが繰り広げられました。これにより、原『ガロ』は休刊に追い込まれましたが、青林工藝舎としての新たな道を切り開くこととなり、1998年に創刊に至ったわけです。

現在の状況と未来

『アックス』はこれまでに多くの漫画家を輩出し、その活動は国際的にも評価されています。最近では、フランスやアメリカなど、海外への翻訳出版も進めており、幅広い読者へとアプローチしています。作家や読者からの支持に支えられ、『アックス』は今後も独自のスタンスを貫き、刺激的な作品を世に送り出すことでしょう。

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