手塚能理子

手塚能理子氏は、1955年10月24日、栃木県宇都宮市に生まれました。高校卒業後、東京へ進学し上京。かねてより憧れていた漫画雑誌『ガロ』の出版社、青林堂に入社、編集者としてのキャリアをスタートさせます。

『ガロ』は、日本のアンダーグラウンド漫画シーンを代表する雑誌として知られており、手塚氏はそこで独特の編集スタイルを学びました。数年間『ガロ』編集者として活躍した後、フリーのライターとして独立。自身の表現活動の幅を広げます。

その後、青林堂へ戻り、1995年には白取千夏雄氏と共に『ガロ』の副編集長に就任。しかし1997年、青林堂では社長交代をきっかけとした内紛が発生。この出来事を機に、手塚氏は他の編集部員と共に青林堂を退社するという決断をします。

この経験は、彼女の人生における大きな転換点となりました。青林堂創業者の長井勝一氏が保有していたレーベル「青林工芸舎」の名を継承し、新たな出版社「青林工藝舎」を設立。そして『ガロ』の精神を受け継いだ実質的な後継誌である『アックス』を創刊、編集長に就任します。

『アックス』は、その後も独自の路線を貫き、多くの読者から支持を得る雑誌として成長を遂げました。手塚氏の編集者としての能力、そして揺るぎない信念が、この成功を支えたと言えるでしょう。

フリーランス時代には、自身の執筆活動にも積極的に取り組んでいました。1984年には『ビンボー自慢―本家本元家元正統元祖始祖教祖』（潮流出版）、1986年にはみうらじゅん氏との共著『亜細亜の恋人』（CBS・ソニー出版）、1992年には『恋、がんばる』（実業之日本社）など、多様なテーマの作品を発表しています。

現在も『アックス』編集長、そして青林工藝舎社長として、日本の漫画文化に貢献し続けています。Twitter（現X）の公式アカウントからも、彼女の活動の様子や考えを知ることができます。数々のインタビュー記事も公開されており、そこでは彼女の人物像や仕事への情熱が垣間見れます。

手塚能理子氏の歩みは、日本の漫画史、特にアンダーグラウンド漫画シーンにおいて重要な部分を占めています。『ガロ』という伝説的な雑誌に関わり、その精神を継承しつつ、新たな道を切り開いた彼女の功績は、今後も高く評価されることでしょう。彼女の情熱と挑戦は、多くのクリエイターたちに影響を与え続け、日本の漫画文化の発展に大きく貢献していると言えるでしょう。

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