アッバース・ヒルミー2世

アッバース・ヒルミー2世について

アッバース・ヒルミー2世（Abbas Hilmi II）は、1874年7月14日にエジプトのアレクサンドリアで生を受け、1944年12月19日にジュネーヴで亡くなった近代エジプトの著名な君主です。彼はムハンマド・アリー朝の第7代君主であり、エジプトのオスマン帝国副王としても知られています。彼の治世は1892年から1914年にかけて続き、その時代はエジプトにおける民族主義の高まりとイギリスの植民地支配に対する抵抗が特徴的でした。

アッバース・ヒルミー2世は、ウィーンの陸軍士官学校に留学し、教育を受けました。彼の父、タウフィーク・パシャが1892年に死去すると、17歳という若さで突如としてエジプトの君主となりました。即位した当初、アッバースは国内の政治情勢に静かに対応しながらも、次第にイギリスに対する敵対的な姿勢を明らかにしました。彼はエジプトの民族主義者たちと接近し、彼らによる国の独立運動を支持したのです。

1914年に第一次世界大戦が勃発すると、アッバース・ヒルミー2世は国民に対して、トルコとの連携を呼びかけ、イギリスからの独立を目指すよう促しました。この大胆な行動は、当時の国際情勢、特にオスマン帝国との関係を強化しようとする意図があったと考えられています。しかし、この動きはイギリス政府によって高く評価されず、彼はその結果として廃位されることになります。

廃位後、アッバースはヨーロッパ各地を転々としながら人生を送りました。彼の政治的な影響力は失われましたが、彼の存在はエジプトにおける民族主義の象徴として記憶されることになります。1944年、彼はスイスのジュネーヴでその生涯を終え、長い間国を離れていた彼は、エジプトの歴史の中で重要な位置を占めることになりました。

また、アッバース・ヒルミー2世には息子のムハンマド・アブデル・モネイムがおり、彼はエジプトの最後の王、フアード2世の摂政としても知られています。アッバースの治世とその後の人生は、エジプトが独立を勝ち取る過程における歴史的な転機を示すものであり、彼の影響は今なおエジプトの人々の心に生き続けています。

このように、アッバース・ヒルミー2世はエジプトの歴史における重要な人物であり、特に民族主義や独立のための闘争といったテーマにおいて、その存在は欠かせないものとなっています。

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