アツギケカビ目

アツギケカビ目の概要

アツギケカビ目（Endogonales）は、主に「アツギケカビ（Endogone）」に属する真菌の分類群で、かつて接合菌門（Zygomycota）接合菌綱に属していましたが、現在はその系統について見直しが進んでいます。この目の特徴的な点は、数少ない子実体を形成する真菌であることです。

特徴

アツギケカビ目の真菌は、子実体が球形に近い楕円形であり、大きさは直径数ミリメートル程度です。これらは主に土壌中やコケ、さらには倒木などの環境で観察されます。子実体の表面は、不規則に絡み合った菌糸で覆われており、その内部には胞子が集まった部分（グレバ）が見られます。この胞子は実際には接合胞子嚢で、厚い壁を持つ球形または楕円形をしています。

興味深いことに、アツギケカビ目の培養方法は十分に確立されておらず、そのために研究は進展が遅れている状況です。これらの真菌は、主に土壌やコケの間に存在し、発達した菌糸体を形成します。また、一部の種は樹木の根に外生菌根を形成することで、植物と共生する関係を持っています。現在のところ、胞子嚢の形成は明確に確認されていませんが、子実体の内部には接合胞子嚢が形成されています。接合胞子嚢は、同型の配偶子嚢が接合することで生成され、接合部からは出芽が行われて形成されるとされています。

分類と系統

最初は、接合胞子嚢が形成されることにより接合菌門接合菌綱として整理され、アツギケカビ目の中にその他の属（GlaziellaやSphaerocraなど）が含まれていました。その後、アツギケカビ属は他の属（グロムスやModicellaなど）に分かれ、長年の研究を経て多くの新種が発見されました。中には子実体を形成しないものも含まれており、その研究が進むにつれ、このグループに対する理解が深まりました。

1980年代から1990年代には、グロムス系の真菌に対する研究が盛んに行われ、多くの論文が発表されましたが、その後、独立した群体が認識された結果、残ったのは理解がまだ不十分な小群のみでした。

現在、アツギケカビ目には接合胞子のみが形成される種が含まれ、腐生菌や高等植物に外生菌根を形成します。菌糸までの培養に成功している種も極めて少数です。この目に属するのは現在、アツギケカビ（Endogone）、Pteridiospora、Sclerogone、Yungiomyces、Densosporaの5種であり、すべてアツギケカビ科（Endogonaceae）に分類されています。おおよそ30種近くが知られており、その20種はアツギケカビ属に加わっています。

アツギケカビ目と他の接合菌類との系統的な関係はまだ明確ではありませんが、近年の研究によって、かつてケカビ目に分類されていたクサレケカビ類が実際にはアツギケカビによく似た系統である可能性が示唆されています。

参考文献

• - 椿啓介, 1978, 『半子のう菌綱』, 菌類図鑑（宇田川他、講談社）
• - Alexopoulos C.J., C.W.Mims, M.Backwell, 1996, 『Introductory Mycology Fourth ed.』
• - The Mycota VII Part A, Springer-Verlag Berlin Heidelberg New York

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