出芽

出芽とは

出芽（しゅつが、英: Budding）は、生物が増殖する無性生殖の一種で、親個体の一部分から新しい個体が形成され、成長後に親から分離して独立する現象を指します。この名称は、植物の芽が伸びる様子に似ていることに由来します。

動物における出芽

動物における出芽の代表例としては、淡水に生息する刺胞[[動物]]であるヒドラが挙げられます。ヒドラは、イソギンチャクを細長くしたような形態をしており、胴体の側面に膨らみが生じ、これが徐々に成長して触手を形成します。成長した子ヒドラは、親ヒドラよりも一回り小さく、根元から分離して独立します。同様の出芽による増殖は、ミズクラゲのポリプ段階でも確認されます。

また、出芽した個体が親個体から分離せずに連結したまま成長すると、群体を形成します。サンゴ、コケムシ、群体ボヤなどがその例です。サンゴの場合、分裂によって増える種類と出芽によって増える種類が存在します。サンゴの骨格表面を観察すると、個々のサンゴの骨格が花のような模様を形成しているのがわかります。分裂で増えるサンゴは、個体の大きさがほぼ同じであり、分裂途中の個体は横長になることがあります。一方、出芽で増えるサンゴは、非常に小さな個体の跡が見られる一方で、特に大きな個体は見られません。この特徴から、分裂と出芽による増殖の違いを識別できます。

菌類における出芽

菌類においては、単細胞生物である酵母が出芽によって増殖する代表的な例です。出芽[[酵母]]の場合、細胞体の端から小さな膨らみが形成され、この膨らみが成長して親細胞と同程度の大きさになります。ある時点で、親細胞と娘細胞の間に細胞壁が形成され、分離して独立しますが、場合によっては分離せずに連結したまま成長することもあります。分離せずに連結したまま成長すると、細胞ごとに膨らみを持つ、もこもことした菌糸のような形態を呈するようになり、これは偽菌糸と呼ばれます。この場合、出芽は体細胞分裂の一形態と捉えることができます。

菌糸を形成する菌類でも出芽が見られることがあり、特に胞子形成の過程で出芽の形をとるものが多く存在します。子のう菌類に属する不完全菌であるアオカビやコウジカビは、フィアライドという分生子形成細胞から分生子を生成しますが、この時、フィアライドの先端から分生子が芽のように形成されます。クラドスポリウムでは、分生子柄の先端から分生子が生成され、さらにその分生子の先端から新しい分生子が形成されます。この過程が繰り返されることで、分生子柄の上に分生子の鎖が形成されます。分生子一個からの出芽の数は一つに限定されないため、この鎖は分岐することがあります。

接合菌門のキクセラ目の菌類では、胞子形成枝上にフィアライドに似た構造が形成され、そこから分生子様の胞子が作られます。この胞子は単胞子の分節胞子のうであると考えられており、フィアライド状の構造は偽フィアライドと呼ばれます。

関連用語

芽: 植物において、茎や枝の先端、または葉の付け根などから出る、成長点を持つ突起。
発芽: 植物の種子や胞子から、新しい個体が成長を始めること。

もう一度検索