アドボカトゥス

アドボカトゥス：中世ヨーロッパにおける弁護士とその役割

アドボカトゥス（ラテン語: advocatus）は、中世ヨーロッパにおいて弁護士や教会を弁護する任務を持つ者を指す一般的な名称です。特にアドボカトゥス・エクレシアエ（advocatus ecclesiae）は、教会を代表し、その権利を擁護する重要な役割を担っていました。

アドボカトゥス・エクレシアエ：教会の守護者

アドボカトゥス・エクレシアエは、特定の教会や修道院を代表し、外部からの圧力からその権利を守る役割を担っていました。彼らは世俗法廷における紛争において教会を代表し、教会領や修道院領における民事訴訟を取り仕切りました。また、紛争が教会への襲撃に発展した場合には、教会防衛の任にもあたりました。

彼らの義務には、教会や修道院の名の下で常備軍を指揮し、戦争を代行することも含まれていました。これらの業務に対する報酬として、アドボカトゥス・エクレシアエは教会資産の中から固定給を受け取ったり、教会資産に対して抵当権を設定したりする権利を得ていました。

ローマ時代からの流れ

アドボカトゥス・エクレシアエのような役割を担う人々は、ローマ時代にも見られました。401年のカルタゴ公会議では、皇帝が司教たちと協力して、教会を守護するための人員（ディフェンソレス・エクレシアエ）を派遣することが求められました。5世紀末にはイタリアにディフェンソレス・エクレシアエが存在した証拠があり、ローマ教皇グレゴリウス一世は彼らを聖職者に限定しました。彼らの義務は、貧しい人々を守り、教会の権利と財産を守ることでした。

法廷役職としての登場

法廷役職としてのアドボカトゥスは、12世紀から13世紀にかけてローマ法が再発見されていく過程で出現しました。この時期に、法的な専門知識を持つ人々が弁護士として活躍するようになったと考えられます。

まとめ

アドボカトゥス、特にアドボカトゥス・エクレシアエは、中世ヨーロッパ社会において、教会の権利を守り、紛争解決を担う重要な存在でした。彼らの活動は、教会の安定と社会秩序の維持に貢献しました。

関連項目

アドボカシー
アドボケイト
事務弁護士（Solicitor）
法廷弁護士（barrister）
弁護士
悪魔の代弁者

参考文献

Herbermann, Charles, ed. (1913). "Advocatus Ecclesiæ". Catholic Encyclopedia. New York: Robert Appleton Company.
チャールズ・ウェスト「カロリンガ派支持者の意義」、中世初期ヨーロッパ 17（2009）、pp. 186–206.

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