アナスタシア倶楽部

『アナスタシア倶楽部』

『アナスタシア倶楽部』は、さいとうちほによる日本の漫画作品で、小学館の『プチフラワー』および『月刊フラワーズ』にて連載されました。物語は、骨董屋の孫娘である主人公と、ロシア皇女アナスタシアの末裔を自称する青年との出会いから展開します。

作品概要

2001年から2003年にかけて連載され、一時中断を挟みながらも『月刊flowers増刊 凛花』にて完結しました。単行本は全5巻（『アナスタシア倶楽部』4巻、『続・アナスタシア倶楽部』1巻）、文庫版は全3巻で刊行されています。

作者は、過去にも宝塚歌劇団原作の「彷徨のレクイエム」を漫画化しており、アナスタシアを題材とするのは本作で2度目となります。

あらすじ

物語は、骨董屋を営んでいた祖父から目利きの才能を受け継いだ少女、椿カムイが主人公です。ある日、オークション会場から人骨が消えるという事件が発生し、その直後、カムイの元に皇女アナスタシアの子孫を名乗る瀬名卓斗が現れます。彼は、カムイに自分との血縁関係を証明してほしいと依頼し、物語は動き始めます。

カムイは、瀬名の依頼を引き受け、ロマノフ王朝の遺産を巡る陰謀と、複雑な人間関係に巻き込まれていきます。持ち前の鑑定能力と、持ち前の度胸で数々の難題に立ち向かうカムイの姿が描かれています。

登場人物

椿 カムイ（つばき カムイ）

本作の主人公。世華大学高等部に通う1年生の少女。身長145cmと小柄で童顔のため、よく小学生と間違われるが、そのことを非常に嫌っています。幼い頃に母親を亡くし、骨董屋を営む祖父に育てられました。祖父の死後、店を畳もうとしていたところ、瀬名の依頼をきっかけに鑑定士として活躍することになります。幼い頃から祖父の傍で培ってきた豊富な知識と優れた鑑定眼を持っています。

瀬名 卓斗（せな たくと）

もう一人の主人公。世華大学2年生で、自称アナスタシア皇女のひ孫。インディゴブルーの瞳が特徴的です。ニコライ2世がアナスタシアに遺したとされるインペリアル・イースター・エッグを持っています。ロシア人の外交官である父と日本人の母の間に生まれ、日本で育ちました。父の死後、自分が他の女性との間にも子供がいることを知り、放浪生活を送っていました。

大日向（おおひなた）

世華大学部私的鑑定機関「大日向研究所」の所長。瀬名の依頼を機に、研究所名を「アナスタシア倶楽部」と改めます。

墨 雷介（すみ らいすけ）

世華大学生。自称ニコライ2世のひ孫で、インペリアル・イースター・エッグを持っていると主張し、瀬名が持つエッグは偽物だと断じます。後に、祖母から皇帝の子孫という話が作り話だったことを知らされます。

星羅・レオーノワ（せいら・レオーノワ）

世華大学3年生。自称・瀬名のガールフレンドで、美貌の持ち主です。読唇術の能力を持っており、イリア・ミハイロビッチの通訳を務めます。

ミハイロビッチ皇女

ロマノフ王家の分家、ミハイロビッチ家の皇女。アナスタシアは従姉にあたります。

イリア・ミハイロビッチ

ミハイロビッチ皇女の息子で、ロシアンマフィアの一員です。

ウラジミール・ダミドフ

天才バレエダンサー。チャイコフスキーの妹の子孫。イリア・ミハイロビッチの死の原因を瀬名のせいだと恨んでいます。

桜尉 葉一郎（さくらい よういちろう）

続編から登場。世華大学経済学部1年生で、瀬名の異母弟であることが判明します。金策のために質に入れた、父親が母親に送ったティアラを探しています。

ミハイル・ステファノビッチ・マレンコフ

瀬名と葉一郎の父親。アナスタシア皇女の孫であり、政府高官の娘と結婚し出世しました。ソビエト大使館駐在員として来日した時に、瀬名の母親と恋に落ちました。

マリーヤ・マレンコフ

ミハイルの正妻。夫の死後、愛人の子である卓斗に親子としての権利を放棄するよう迫ります。

ドミトリー・ザハロフ

ロシア政府高官。瀬名が放浪生活を送っていた頃、金銭のために肉体関係を持っていた人物です。

番外編

『月刊フラワーズ』2005年10月号の付録として、「アナスタシア倶楽部 番外編 匂いを嗅いだ少女」が発表されました。祖父の遺品整理中に不思議な壺を見つけたカムイが、その匂いを嗅ぐことで「胡蝶の夢」を体験するという物語です。

書誌情報

単行本

さいとうちほ 『アナスタシア倶楽部』 小学館〈フラワーコミックス〉全5巻
1巻: 2002年1月26日発売、ISBN 4-09-135284-7
2巻: 2002年6月26日発売、ISBN 4-09-135285-5
3巻: 2003年3月26日発売、ISBN 4-09-135286-3
4巻: 2003年12月19日発売、ISBN 4-09-135287-1
『続・アナスタシア倶楽部』: 2008年5月26日発売、ISBN 978-4-09-131685-1

文庫版

小学館〈小学館漫画文庫〉全3巻
1巻: 2010年8月12日発売、ISBN 978-4-09-191108-7
2巻: 2010年8月12日発売、ISBN 978-4-09-191109-4
3巻: 2010年9月15日発売、ISBN 978-4-09-191110-0、巻末エッセイ：真梨幸子

外部リンク

* さいとうちほインタビュー

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