アナスタシア戦争

アナスタシア戦争（502年 - 506年）

アナスタシア戦争は、東ローマ帝国とサーサーン朝ペルシアの間で502年から506年にかけて戦われた戦争です。この戦争は、両国が長年享受してきた平和を終わらせ、その後の数世紀にわたる両帝国の紛争の幕開けとなりました。

背景

戦争の背景には、いくつかの要因がありました。

サーサーン朝の財政難: カワード1世は、王位を奪還する際に協力したエフタルへの負債を抱えており、資金を必要としていました。
自然災害: メソポタミア南部でのチグリス川の流れの変化、飢饉、洪水などが状況を悪化させました。
* 東ローマ帝国の補助金拒否: 東ローマ帝国は、北方からの侵略に対するコーカサスの防衛のためにサーサーン朝に補助金を支払っていましたが、アナスタシウス1世はこれを拒否しました。これがカワード1世に武力による資金調達の動機を与えました。

戦争の経過

502年、カワード1世は東ローマ帝国のテオドシオポリスを占領し、マルティロポリスも占領しました。その後、アミダを3ヶ月にわたって包囲し、陥落させました。アミダの住民は強制的にペルシア領内へ移住させられました。

503年、東ローマ軍はアミダの奪還を試みましたが失敗しました。一方、サーサーン朝もエデッサの攻略に失敗しました。歴史家のピーター・ヘザーは、この戦いでペルシア軍が東ローマ軍に対して決定的な勝利を収めたと主張しています。

504年、東ローマ帝国はアミダを再び包囲し、優位に立ちました。同年、フン族がアルメニアに侵攻したため、両国は休戦に合意しました。交渉が行われましたが、両国の不信感は根強く、506年にペルシア側の役人が拘束される事態も発生しました。同年11月、最終的に条約が締結されましたが、その内容はほとんどわかっていません。プロコピオスによれば、7年間の和平が合意され、東ローマ帝国がサーサーン朝にいくらかの財貨を支払った可能性があります。

戦争後の経過

戦争後、東ローマ帝国は国境付近に主要な軍事拠点が不足していることを認識しました。そのため、505年にアナスタシウス1世はダラに巨大な要塞都市の建設を命じました。また、エデッサ、バトナエ、アミダの要塞も改修されました。

ダラの建設は、422年の平和条約に違反するとしてペルシア側の不満を引き起こしましたが、アナスタシウス1世は建設を強行し、カワード1世の不満を財貨の支払いによって鎮めました。ダラの要塞は507年か508年に完成し、東ローマ帝国の防衛に重要な役割を果たしました。

結論

アナスタシア戦争は、東ローマ帝国とサーサーン朝の間の長年の平和を終わらせた最初の主要な紛争であり、その後の数世紀にわたる両帝国の紛争の幕開けとなりました。この戦争は、両国に大きな影響を与え、東ローマ帝国は国境防衛の強化を迫られました。

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