アニマライズ

キッスの1984年発表のアルバム『アニマライズ』は、バンドの音楽性を新たな方向へと導いた作品として知られています。このアルバムは、リードギタリストとしてマーク・セント・ジョンが唯一参加した作品でもあります。

当時、ジーン・シモンズは俳優業に力を入れており、アルバム制作は主にポール・スタンレーが主導しました。シモンズはバンド活動へのコミットメント不足を指摘され、他のプロジェクトに多くの時間を費やしていたため、バンドメンバーとの間に軋轢が生じていました。

新ギタリストのマーク・セント・ジョンは、レコーディングにロックマンのアンプを使用し、独特のサウンドを追求しました。しかし、彼は反応性関節炎と診断され、ツアー中にバンドを脱退。短期間でキッスのリードギタリストの座を去ることになりました。

ポール・スタンレーは、「アニマライズ」というタイトルについて、人間がコンピューターのようになり、音楽制作が単なるボタン操作になることへの警鐘だと語っています。

アルバムは商業的には成功を収め、プラチナ認定を受けました。これは1979年の『地獄からの脱出』以来、最も売れたアルバムとなりました。しかし、音楽評論家や長年のファンからは、グラムメタルへの傾倒が批判されました。

収録曲の中でも「ヘヴンズ・オン・ファイアー」は特にヒットし、ミュージックビデオはMTVで頻繁に放送されました。ギター・ワールド誌は、このアルバムを「1984年を象徴する50のアルバム」に選出しています。

『アニマライズ』は、キッスの音楽性の変化と、メンバー間の葛藤が反映された作品と言えるでしょう。グラムメタルへの転換は賛否両論ありましたが、商業的な成功を収め、キッスの新たな時代を切り開いた重要なアルバムです。

もう一度検索