アニメちゃん

映画『アニメちゃん』

1984年に公開された『アニメちゃん』は、日本のコメディ映画です。この作品は、円谷プロダクションによって製作され、同年に公開された『ウルトラマン物語』と同時上映されました。映像作品の中では、アニメーションではなく実写で描かれた中編映画であり、主人公は映画のタイトルでもあるアニメちゃんという名前の少女です。特に注目すべきは、円谷プロの人気怪獣の三体、カネゴン、ピグモン、そしてブースカです。

ストーリーの概要

物語は、12歳の少女アニメちゃんが自身の部屋の壁に描いた怪獣たち—ブースカ、カネゴン、ピグモン—が宇宙電波によって実体化することで始まります。この三匹の怪獣（通称ブーカーピー）は、アニメちゃんの家に無断で居候することになりますが、その結果、食費がかさんでしまいます。大金なるキャラクターが登場し、彼らは遊園地でアルバイトをすることになり、愉快なエピソードが展開されます。物語は、アニメちゃんと怪獣のユニークな関係を描きつつ、コメディ要素を交えて進行します。

スタッフとキャスト

この映画は円谷皐が製作・企画を担当し、伊藤正純や宇川清隆がプロデューサーを務めました。監督は湯浅憲明、脚本は平野靖士と平野美枝によって書かれています。音楽は菊池俊輔や円谷音楽出版が手がけ、美術や撮影、照明など多くのスタッフが関与しています。

主要キャストには、アニメちゃん役の山田恭子をはじめ、パパ役の出門ヒデ、ママ役の大杉久美子、そして声の出演としてカネゴン（つかせのりこ）、ピグモン（栗葉子）、ブースカ（高橋和枝）がいます。怪獣たちの独自のキャラクター性と、実在の俳優たちのおかげで物語は一層魅力的に展開します。

本作の特異性

『アニメちゃん』は、ウルトラマンシリ―ズの作品ではないものの、外伝的な要素を含んでいることが特徴です。ウルトラマンに関連するCD音源にこの映画の内容が収録されることもあり、ファンの間での認知度は高いですが、残念ながら本作はこれまで一度もソフト化されていないのが現状です。

また、映画内で語られていない設定として、宇宙電波の影響によって怪獣たちが実体化するアイデアがパンフレットに掲載されている点も注目です。さらに、作品の中では使用されない呼称である「三大愉快獣」とは、ブースカ、カネゴン、ピグモンの頭文字を取ったものであり、ファンの間ではしばしば使われてきました。

逸話と影響

本作には、特に主役のブースカに対する人気が非常に高いという逸話も存在します。ロケ地では多くの人々がブースカを見るために集まり、社会現象とも言えるほどの注目を集めていました。こうした人気は、作品の公開後も長い間語り継がれています。

『アニメちゃん』は、コメディ要素を持ちながらも、視聴者に大切なメッセージを伝える余韻のある作品です。円谷プロの名作として、多くのファンに親しまれたこの映画は、現在でも特撮ファンやアニメファンを刺激し続けています。

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