アビシニアコロブス

アビシニアコロブスについて



アビシニアコロブス（Colobus guereza）は、霊長目のオナガザル科に属する特徴的な猿です。この種は、主にアフリカの熱帯雨林や森林、樹の多い草原に生息し、その分布は広範囲にわています。具体的には、ウガンダ、エチオピア、ガボン、カメルーン、ケニア、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国北部、赤道ギニア、タンザニア、チャド、中央アフリカ共和国、ナイジェリア、南スーダン、ルワンダといった国々で確認されています。アビシニアという名前は、エチオピアの古称に由来しています。

外見的特徴



アビシニアコロブスは、体長が約45〜70センチメートル、尾の長さは50〜90センチメートルに達します。体重は5.5〜14.5キログラムで、壮観な黒と白の毛皮を持っています。特に顔面や臀部が白い毛で囲まれており、U字型に広がる白いマント状の毛が体の側面と背中を覆っています。尾の先端にも白い毛が生えています。幼獣は全身が白色で、成長するにつれて特徴的な模様が現れます。鼻は口に接近し、後足は木の間を飛び跳ねるのに適した長さと筋肉を備えています。また、臀部には胼胝（べんち）があり、これにより長時間にわたり細い木の枝に座っても苦痛を感じることはありません。

生態と生活様式



アビシニアコロブスは昼行性であり、主に樹上で生活します。彼らは熱帯雨林や森林はもちろん、草原地帯でも生活していますが、草原では地上を移動することもあります。彼らは特に二次林や川沿いに多く見られ、食事は主に葉や果物から摂取します。果物はその食事の約三分の一を占め、小枝や芽、種、若枝も食べることがあります。

社会構造と繁殖



その生活は通常、6〜9匹の成獣を含む群れで構成されており、群れの居住区域は約16万平方メートルに及びます。この居住域内には、他の群れに追い出された時でも保障された保護区域が存在します。群れが偶然出会った場合、彼らは仕草や声で威嚇し合い、成獣の雄は夜を徹してコーラスを行うことで距離を保ちます。妊娠期間は約5ヶ月で、新生児は約20ヶ月ごとに生まれ、幼獣は4〜6歳で成熟します。飼育下での最長寿命は23歳にも達することがあります。

分類



アビシニアコロブスの分類は以下のようにされており、地域によって異なる亜種が存在します。

人間との関係と保全状況



アビシニアコロブスは、エチオピアにおける呼称に由来し、特にコロブス属全体を指す名前として使われることもあります。彼らは広い分布域と比較的多くの個体数を持ち、現在は絶滅の危険は低いとされています。しかし、森林伐採や農業開発によって生息域が減少していることが懸念されており、毛皮目的の狩猟活動も影響を及ぼしています。そのため、1977年からワシントン条約の附属書IIに掲載されています。日本でも、コロブス属は特定動物として指定されています。

天敵



アビシニアコロブスの天敵には、チンパンジーやヒョウ、大型猛禽類、アフリカニシキヘビがいます。これらの捕食者から身を守るため、彼らは樹木の上で生活することが多いのです。

このように、アビシニアコロブスは多様な環境で適応し、興味深い生態を持つ霊長類です。

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